足圧中心点(COP)の軌跡とは、簡単に書くと歩くときに立脚側の足底のどこに体重が乗っているのかを示したものです。
上の画像を見ていただくとわかりやすいですが、正常なら踵外側から接地してアウトエッジを通過し、最後は母趾から抜けます。
それが過剰回内しているケースでは、接地直後から内側に体重が乗り、最後は示趾や中趾から抜けていきます。
足圧中心点が外側を通過する場合は距骨下関節は軽度内反(回外)し、締りの位置(CPP)にて安定した状態となります。
母趾の中足趾節関節は最大伸展位でCPPとなるため、母趾から体重が抜けていくということは、しっかりと離床まで持っていくことができます。
それが過剰回内で足圧中心点が内側を通過してしまうと、距骨下関節は軽度外反し、緩みの位置(LPP)にて不安定となります。
さらに第2-5趾の中足指節関節は軽度伸展位でLPPとなるため、母趾以外から体重が抜けていくと関節の負担が増加します。
基本的に足関節は可動性関節なので動きがある必要がありますが、足関節より遠位の足部は安定性関節なのでCPPで働くことが重要です。
踏切期の圧が第2-3趾に集中しているケースにおいては、長母趾屈筋と短母趾屈筋、短趾屈筋に筋力低下を認めると報告されています。
また、関節が緩みの位置にあると遠位横アーチが保持できずに低下してしまい、足底の固有底側趾神経が圧迫されます。
そうすると指先に知覚障害が生じるモートン病が発症するので、治療ではオーバープロネーションを防いでCOPを変化させる必要があります。
他にもオーバープロネーションは扁平足や外反母趾、足底筋膜炎、シンスプリント、アキレス腱炎、腸脛靱帯炎の原因にもなります。
具体的なアプローチ方法としては、後足部回外誘導テーピングが有効で、載距突起を持ち上げて回外方向に誘導します。
距骨下関節が回外することでショパール関節はしまりの位置となり、足部の剛性を高めて安定させることができます。
もしもこのテーピングで効果が発揮するようなら、オーバープロネーションを防止する足底板やサポーターを検討してみるとよいです。