片脚立位が不安定な原因について

片脚立位テストを実施するにあたり、単純に時間のみを計測するのは非常にもったいないです。

たとえ1分以上の保持が可能でも、身体の一部が崩れていたり、不安定で動揺が生じているようなら改善の余地があります。

ここでは具体的に片脚立位のどこをみるか、どうしてそこが崩れているのかについて解説していきます。

片脚立位が不安定な理由

片脚で立つより両脚で立つほうが安定するのは容易に想像がつきますが、その理由について説明しろといわれたら少し難しいかもしれません。

そのため、まずはその理由を簡単に解説します。

物体が安定するためには、①支持基底面が広い、②重心線が支持基底面の中央にある、③重心が低いの3つの条件が必要です。

ヒトにおける支持基底面(立位)は、接地している右足裏から左足裏までの範囲となります。

それが片脚立位になると支持基底面が立脚側の足底のみになるわけですから、極端に狭くなってしまいます。

また、身体の中央にあった重心線が支持基底面から外れるため、非立脚側に倒れないような働きかけが必要となります。

体幹や下肢の筋力を用いて倒れようとする上半身をロープで引っ張るように働いたり、上半身や骨盤を立脚側に偏位させて重心をずらすなどします。

その方法は人それぞれですが、骨などに負担をかけないためには筋肉を用いた方法が最も適しているといえます。

片足立位で身体が崩れたり、激しい動揺を伴うケースにおいては、将来的に問題を起こす可能性が高いので早めの対策が必要です。

①骨盤から崩れる場合

骨盤から崩れるケースで、片脚立位時に骨盤を水平に保てずに非立脚側が落ちるトレンデレンブルグ徴候がみられる場合があります。

このパターンが発生する原因に中殿筋の筋力低下があり、骨盤が傾くことで上半身は非立脚側に傾き、片脚立位が不安定となります。

不安定性を軽減するために、骨盤を立脚側へ偏位させて、重心線を中央に戻してバランスを保つことがあります。

この方法で代償している場合は、検査者が骨盤を正中位に保持し、その状態で患者に片脚立位をとっていただくと保持が困難になります。

トレンデレンブルグ徴候において、骨盤が偏位しすぎて倒れないように制御しているのが腸脛靭帯と内腹斜筋になります。

そのため、これらの組織に頼っているケースでは日常的に疲労が蓄積しており、触れると硬く、圧痛が認められます。

これはいわゆるスウェイバック姿勢の状態であり、姿勢を非収縮要素(腸脛靭帯)に依存し、収縮要素(筋肉)にはあまり頼っていません。

骨盤を立脚側に偏位させずに代償する方法として、上半身を立脚側に側屈させる方法があり、これをデュシェンヌ歩行といいます。

大腿骨頭の上に臼蓋を乗せるようにして歩いており、中殿筋の収縮や腸脛靭帯による制御を求めない歩行となっています。

ただし、関節の負担は増加してしまうので、脊椎や股関節の変形を招いてしまうリスクが上がります。

骨盤の偏位が少なく、体幹の側方動揺が大きいケースでは、非立脚側の外腹斜筋が機能不全を起こしている可能性が高いです。

②膝関節から崩れる場合

膝関節は屈曲と伸展の動きが主であり、内反や外反といった側方への動き(動揺)は生じません。

しかし、変形性膝関節症を生じている場合は、片脚立位時に膝関節の内反傾向が増大するラテラルスラストが起こります。

基本的に膝関節から崩れることはなく、前述した骨盤から崩れたり、後述する足部から連鎖的に崩れることがほとんどです。

そのため、膝関節のみを治療しても根本的な改善とはならないケースが多く、骨盤や足部の状態をみることが必須となるわけです。

③足関節から崩れる場合

片脚立位を実施した場合に、足関節が内反方向に動揺しやすく、不安定な状態となりやすいケースがあります。

このパターンが発生する原因に後脛骨筋の緊張や内反捻挫の既往(外側靭帯の延長)があり、日常的に足底の外側に荷重が乗っていることも多いです。

腰方形筋が緊張(短縮)しているケースでは、下肢に機能的脚長差が生じており、その差を補正するために骨盤挙上側の足部が内反します。

これは前述した骨盤から崩れる場合に付随して起こる状態であり、二次的な障害になるので、治療では骨盤周囲にアプローチすることが必要です。

足関節が内反すると上行性運動連鎖によって膝関節も内反し、変形性膝関節症を発生させる原因になります。

上記のことから、膝関節を変形させないようにするには片脚立位の状態を確かめることが有用で、安定した歩行を獲得することが大切です。

おわりに

ここでは立脚側へ動揺するケースを中心に解説してきましたが、非立脚側へ動揺するケースもあります。

その場合は膝関節が外反変形したり、足部が外反位となって扁平足や外反母趾を招くことにつながっていきます。

もちろん側方のみでなく、前方や後方に倒れやすいケースも存在しているので、崩れやすい部位や方向を是非とも観察してみてください。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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