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膝外側側副靭帯(LCL)損傷のリハビリ治療


膝の外側側副靱帯(Lateral collateral ligament:LCL)損傷のリハビリ治療に関して解説していきます。目次は以下になります。

膝外側側副靭帯損傷の概要

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膝の外側側副靭帯(LCL)は大腿骨外顆と腓骨小頭を結ぶ靱帯で、膝関節の外側不安定性を制御しています。肘などにも外側側副靭帯は存在していますので、膝LCLと表現していきます。

対側の内側側副靭帯は内側半月板や関節包との結合がありますが、膝LCLは外側半月板や関節包との結合を持ちません。そのため、膝関節は外側への可動性が大きいことが特徴です。

日本人の変形性膝関節症で内反膝(O脚)が多いのは、内反(外側動揺)の可動性が大きいことが理由として挙げられます。

膝関節の外側に対する安定性は膝LCLに加えて、膝窩筋腱や弓状膝窩靱帯も関与しており、これらが損傷することで後外側回旋不安定性が生じます。

膝LCLの単独損傷は稀で、通常は骨折や後十字靭帯損傷などに伴って発生します。受傷機転としては、交通事故やラグビーのタックルなどで脛骨が後方や外方に急激に偏移することで起こります。

後十字靱帯損傷と合併しやすい理由として、膝LCLはやや後下方に向けて走行しており、下腿(脛骨と腓骨)が後方に引かれることで伸張されるからです。

反対に、膝の内側側副靭帯は前下方に向けて走行しているため、下腿が前方に引かれたときに損傷しやすく、前十字靱帯との合併損傷が多くなります。

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膝窩筋と弓状膝窩靱帯

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支配神経 脛骨神経(L4-S1)
起始 大腿骨の外側上顆
停止 脛骨の上部後面
動作 膝関節の屈曲、下腿内旋(わずか)

膝窩筋は膝関節屈曲と下腿内旋に作用するため、膝関節伸展時のロッキングを外すように補助します。機能していない場合は下腿内旋の動きが起こらないため、屈曲時に関節包を挟み込んで痛みが生じます。

膝窩筋が短縮している場合は、膝関節伸展時に下腿を外旋させて脛骨を押し込む終末回旋運動(スクリューホームムーブメント)を阻害することになり、伸展制限を引き起こします。

弓状膝窩靱帯は腓骨頭の外側面から膝窩筋を横切って関節包に付着します。腓骨頭の安定化と共に、膝関節伸展時に下腿を外旋位に誘導して、終末回旋運動を補助します。

しかし、弓状膝窩靱帯はしばしば欠損している場合があります。

膝LCLと腸脛靭帯炎

膝の外側側副靭帯や膝窩筋腱(起始部)は大腿二頭筋腱の深層に位置しており、その中間には腓骨滑液包が介在しています。滑液包とはクッションのようなもので、靱帯と腱が擦れて損傷するのを防ぐ役割を担っています。

膝LCLの前方には腸脛靭帯が走行していますが、腸脛靭帯はランニングやペダリングなどの膝関節が屈曲伸展を繰り返す動作で大腿骨外側顆と摩擦が生じます。

その状態が長時間にわたって継続すると腸脛靭帯に炎症が起こり、大腿骨外側上顆に圧痛を認めます。外側側副靭帯の起始部と場所が近いため、間違えないように注意します。

通常、膝LCLが単独損傷していても関節外靱帯なので膝関節の腫脹は認められませんが、関節内組織(前・後十字靭帯や半月板)の損傷が合併している場合は多量の関節液が貯留します。

そのため、膝関節の浮腫の状況によって病変を推察するようにし、各組織に圧迫やストレスを加えていきながら損傷を確認していきます。

膝LCL損傷の重症度分類

Grade 靱帯の損傷 臨床所見
1 延長なし 靱帯の圧痛(+),30度屈曲位での動揺性(-)
2 部分断裂 伸展位の動揺性(-),30度屈曲位での動揺性(+)
3 完全断裂 伸展位の動揺性(+),30度屈曲位での動揺性(+)

Grade3の場合は膝LCL単独損傷は少なく、膝関節の外側関節包や前・後十字靭帯の損傷を合併している可能性が高いです。単独損傷の場合は、どの重症度においても基本的に保存療法が適応されます。

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画像検査

X線写真は膝関節正面と側面の2方向から撮影します。外側の大腿骨と脛骨の関節面をみて、骨折がないかを確認します。

靱帯は映りませんので、損傷の有無や程度を確認するためにはMRI検査が必要です。MRIでは、靱帯実質部や付着部に輝度変化や腫脹が確認できます。

保存療法と手術療法の適応

膝LCL単独損傷の場合は保存療法が適応されますが、ほとんどの場合は他の損傷に伴って合併してくるので手術療法が選択されます。

新鮮例の場合には、他の損傷の修復とともに外側側副靭帯の修復も併せて行う必要があります。

陳旧例の場合には、大腿二頭筋腱の一部を腓骨小頭付着部を付けたままで切離して、その遊離縁を大腿骨外顆に固定する方法や、大腿筋膜張筋の一部を切離して大腿骨外顆に固定する再建法が行われます。

膝窩筋腱や弓状膝窩靱帯の損傷に対しては、大腿筋膜張筋を用いたり、大腿二頭筋の一部を大腿骨外顆後方に固定して移行する方法があります。

筋力トレーニング

膝LCL損傷では下腿の内反が増強するため、側方の支持性を保つ大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)や腓骨を内側に引き付ける大腿二頭筋を強化していきます。

後十字靭帯損傷を合併している症例では、下腿の後方制動に貢献する大腿四頭筋や下腿三頭筋の強化も図ります。

とくに内側広筋は大腿骨を内旋させて、終末回旋運動に貢献するため、膝関節の伸展不全が発生している症例では重要となります。

膝関節サポーター

外側側副靱帯の損傷は膝関節内反の可動性が増し、変形性膝関節症(O脚)を助長させる原因となります。そのため、不安定な場合は膝関節サポーターは予防としても役立ちます。

スポーツにおける非接触型損傷の場合は、受傷原因となった動きで再発してしまう危険もあるので、動作指導に加えてサポーターの必要性も検討します。

使用においてはどの方向を制動して、どの組織への負担を減らすかを明確にしておくことが大切で、やみくもに付けないように注意してください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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