非構築性脊柱側弯症のリハビリ治療

非構築性脊柱側弯症の概要

  • 非構築性(機能性)側弯=骨の変形ではなく、筋・筋膜のアンバランス/姿勢・慣習で生じる“矯正可能”な側弯。

  • 若年者から中高年者まで幅広く発症。姿勢習慣により出現・増悪しやすい。


概要と特徴

  • 側弯症は構築性(骨形態のゆがみ・回旋固定を伴い矯正困難)と、非構築性(機能的・可逆的)に大別。

  • 非構築性は疼痛性筋スパズム、脚長差、姿勢習慣、胸腰筋膜の滑走低下などで生じ、側屈の矯正が可能

  • 多くは**軽度〜中等度(Cobb角およそ30°前後までが目安)**で、回旋(肋骨隆起)が目立たない/体位で改善という所見が典型。

代表的な誘因

  • 疼痛回避姿勢(背部・頸部の痛み → 防御性収縮で一側へ逃げる)

  • 脚長差(解剖学的/機能的;股関節拘縮・骨盤傾斜)

  • 立ち・座りの習慣(常に同側に荷重、同側に体幹を寄せる等)


評価のポイント(臨床で“見て・触って・動かす”)

  1. 立位側屈の可逆性:自動/他動で中間位に戻せるか。

  2. Adam’s前屈テスト:明らかな肋骨隆起が乏しく、前屈で側弯が軽減しやすいのが非構築性の目安。

  3. 脚長差の有無:ASIS–内果長、ブロックテストで補正して姿勢変化を確認。

  4. 骨盤傾斜と腰方形筋の緊張:腸骨稜直上の圧痛・短縮感。

  5. 中殿筋機能:Trendelenburg徴候、片脚立位の保持、側方骨盤制御。

  6. 痛みの一次源:疼痛誘発姿勢/動作、関連する筋・筋膜の滑走不全。


リハビリの原則と実際

1)まず“原因”を外す(ベース整備)

  • 疼痛の鎮静化:過緊張筋の軽圧・ポジショニング・温熱、必要に応じて医師と併用療法。

  • 脚長差への対応:**補高(ヒールリフト)**の試行 → 立位アライメント改善が得られる最小量を採用。

  • 作業姿勢の見直し:片荷重・片側バッグの禁止、立位作業は足台で荷重交替、座位は左右坐骨荷重をこまめに切替。

2)凹側(短縮)を伸ばす

  • 右腰方形筋ストレッチ(右凹例)
    立位で左足をクロス前方、体幹を左へ側屈+軽度前方へ。呼吸を合わせ20–30秒 ×2–3

  • 骨盤後側の筋膜リリース:腸骨稜上の圧痛結節を圧迫–離圧で滑走改善。

  • 内転筋の緊張が強い側は長座で膝伸展・股関節外転軽度+骨盤前傾を保って無痛域ストレッチ

3)凸側(伸張)を鍛える

  • 左中殿筋強化(左凸例)

    • サイドライイング・ヒップアブダクション:骨盤を固定し、股関節軽内旋で上げ下げ 10–15回 ×2–3

    • サイド・プランク(膝付き)15–30秒 ×2–3、体幹と骨盤の一直線を維持。

  • 大腿筋膜張筋/腓骨筋の協調:立位バンド歩行(モンスターウォーク)で膝が内側へ入らない意識。

4)体幹コントロールの再学習

  • 分節的側屈練習:鏡前で胸郭–腰椎を“引き上げる側を長く”する意識。

  • 呼吸で胸郭を整える側方胸式呼吸(凸側に空気を入れる意識)で肋椎の可動性を回復。

  • 骨盤の中立学習:座位ロッキング→中間位保持→そのまま左右均等荷重で上肢作業へ。

5)歩行の再教育

  • 初期接地~立脚中期中殿筋で骨盤を水平に保つ感覚を獲得。

  • 下肢ラインは第2趾方向へ、膝外反・内旋代償や過度の骨盤挙上を抑制。

  • 必要に応じて足部アーチ・足底筋の活性(ショートフット)を併用。

負荷設定は痛み0–3/10の範囲。週2–3日×4–8週で体幹対称性・片脚立位の質向上を目標に。


進行・併発への配慮

  • 高齢者では基礎に脊柱管/椎間孔狭窄があり、側弯追加で症状が出やすい。間欠性跛行・夜間痛・神経脱落があれば医療機関へ。

  • 明らかな肋骨隆起の固定、強い回旋拘縮、Cobb角の持続増大構築性の可能性。画像評価を検討。


よくある質問(Q&A)

Q1:運動だけで良くなりますか?
A:原因(脚長差・疼痛源・作業姿勢)を同時に是正すれば、非構築性は改善しやすいです。運動単独だと戻りやすい傾向。

Q2:どれくらいで変化が出ますか?
A:個人差はありますが、2–4週で立位の左右差や片脚立位の安定感が変化し始めるケースが多いです。

Q3:コルセットは必要?
A:急性疼痛期や長時間作業時の一時的補助は可。ただし常用は筋力低下を招くため、運動療法優先が基本。

Q4:どの側を鍛える/伸ばすか迷います
A:凸側=弱いことが多い→強化、凹側=短いことが多い→伸張が原則。鏡・触診・可動域でその場の反応を確認し調整します。