筋肉を鍛える前に拮抗筋を緩める

筋肉には「優位になりやすい筋肉」と「弱化しやすい筋肉」があり、両者は動筋と拮抗筋として深く関係しています。

その組み合わせは筋肉ごとに決まっていますので、あらかじめ頭に入れておくと治療で非常に役立ちます。

下記の表では、左右で拮抗する筋肉を掲載しています。

優位または短縮しやすい筋 延長または弱化しやすい筋
頸部伸筋群 頸部前方の屈筋群
僧帽筋上部・肩甲挙筋 広背筋
大胸筋鎖骨部線維 僧帽筋中・下部線維
小胸筋 菱形筋
脊柱起立筋・梨状筋 腹筋群
腸腰筋・大腿筋膜張筋 大殿筋
ハムストリングス 大腿四頭筋
股関節内転筋群 中殿筋
下腿三頭筋 下腿の背屈筋群

例えば、腸腰筋が短縮しているケースでは、拮抗筋である大殿筋は伸長されており、長期間の伸長位は筋肉の弱化を招きます。

また、腸腰筋が優位となっている場合には、大殿筋がうまく収縮できずに筋出力を発揮できなくなってしまいます。

このことを知っておくと、単純に大殿筋が弱化しているからといって大殿筋を強化しようという発想にはなりません。

大殿筋が弱化した原因には腸腰筋の優位または短縮が関与している場合がほとんどなので、まずはそちらにアプローチすることが必要になります。

反対に、腸腰筋が短縮しているからといって腸腰筋をストレッチするだけでは、拮抗筋とのバランスがとれずにまたすぐに短縮します。

このことを踏まえると、短縮している動筋(腸腰筋)をストレッチした後には、必ずその可動域まで使えるように拮抗筋(大殿筋)を働かせることが重要となるわけです。

単純にマッサージやストレッチだけ、筋力トレーニングだけにならずに、緩めてから鍛えるとより効果を発揮するはずです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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