総論(原法の段階観)
-
Stage I:弛緩。自発運動なし。
-
Stage II:痙縮出現/**共同運動(シナジー)**の萌芽。
-
Stage III:共同運動内で随意運動が可能(痙縮最強)。
-
Stage IV:共同運動外の分離運動が一部可能。
-
Stage V:より複雑な分離運動へ拡大。
-
Stage VI:ほぼ正常の分離・協調(痙縮ごく軽微~消失)。
Stage I(弛緩期:連合反応をみる)
目的:連合反応の有無を確認
方法例:非麻痺側の股内転に徒手抵抗を加え、麻痺側内転筋の収縮を触診・視認。
判定:収縮なし=Stage I/あり=Stage II-1以上
注意:強刺激は反射的共同運動を誘発するため安全量で。
Stage II(随意収縮の“芽”)
方法例:麻痺側の股関節内転を口頭指示。
判定:目に見える運動がなくても随意収縮を触知できればStage II-2以上。
Stage III(共同運動内での随意性)
採点:2課題を0(不可)/1(不十分)/2(十分)で判定
→ 合成でⅢ-1~Ⅲ-4を運用
| 判定 | 1の検査 | 2の検査 |
|---|---|---|
| Ⅲ未満 | 不可 | 不可 |
| Ⅲ-1 | 不十分 | 不可 |
| Ⅲ-2 | 不十分 | 不十分 |
| Ⅲ-3 | 十分 | 不十分 |
| Ⅲ-4 | 十分 | 十分 |
1)伸筋共同運動(背臥位)
-
姿位:背臥位、膝90°屈曲位から「下肢を伸ばす」
-
十分:膝屈曲**≦20°**まで伸展できる
-
不十分:膝屈曲**>20°**残存
-
不可:運動起こせず
2)屈筋共同運動(背臥位)
-
姿位:背臥位、下肢伸展位から「下肢を曲げる」
-
十分:股屈曲**≧90°**
-
不十分:股屈曲**<90°**
-
不可:運動起こせず
体幹の屈曲や骨盤後傾など代償が入れば不可扱い。
Stage IV(共同運動外の分離運動が一部可能)
判定:3課題中1つ十分=Ⅳ-1/2~3つ十分=Ⅳ-2
1)SLR(背臥位下肢伸展挙上)
-
条件:膝屈曲**≦20°**維持
-
十分:股屈曲**≧30°**
2)膝屈曲(坐位)
-
条件:股屈曲**60–90°**保持、足底は床から離さない
-
十分:膝屈曲**≧100°**
3)足関節背屈(坐位)
-
条件:股屈曲60–90°、踵は床につけたまま
-
十分:背屈**≧5°**
Stage V(より高度な分離運動)
判定:3課題中1つ十分=Ⅴ-1/2つ=Ⅴ-2/3つ=Ⅴ-3
1)足関節背屈(背臥位)
-
条件:下肢伸展位、膝屈曲を伴わない、踵は床から浮かさない
-
十分:背屈**≧5°**
2)足関節背屈(坐位・膝伸展位)
-
条件:膝伸展位(屈曲≦20°)、股屈曲60–90°
-
十分:背屈**≧5°**
3)股関節内旋(坐位)
-
条件:股屈曲60–90°、膝**90°±10°**保持
-
十分:内旋**≧20°**
※原文に紛れ込んでいた肩外転の記述は誤記のため削除しました(上肢ではなく下肢評価です)。
Stage VI(分離・協調の最終段階)
股関節内旋反復テスト(坐位)
-
条件:股屈曲60–90°、膝90°±10°、内旋≧20°で10回反復
-
十分:麻痺側の所要時間が非麻痺側の1.5倍以内
-
例:非麻痺20秒 → 麻痺側**≦30秒**
-
評価共通の注意
-
代償排除:体幹・骨盤・足部の位置を固定。
-
痛み・可動域:先に疼痛管理とROM準備を。
-
同一条件:同じ椅子高・足位置・測定者で再現性を担保。
-
サブステージ(Ⅱ-1/Ⅱ-2、Ⅲ-1~Ⅲ-4等)は便宜的で、公式の原法に含まれません。
よくある質問(Q&A)
Q1. Brunnstromは筋力評価ですか?
A. いいえ。共同運動影響下の随意性・分離性の段階評価です。筋力そのものではありません。
Q2. 痙縮の強さとStageは一致しますか?
A. 概ね相関しますが一致はしません。Stage IIIでも共同運動内の随意性は改善し得ます。
Q3. どの課題から始めればよい?
A. Stageに応じて:I–IIは誘発・感覚入力、IIIは共同運動内反復、IV–Vは分離運動学習、VIは速度・協調・二重課題へ。
Q4. 背屈角5°の根拠は?
A. 臨床運用の目安です。重要なのは膝や股の代償を伴わずに単独背屈を分離できること。
Q5. 短時間での再評価のコツは?
A. 同一セッティング(椅子高・足底位置・ランドマーク)、疲労管理(休息挿入)、疼痛の可視化(NRS等)を徹底。
最終更新:2025-10-02










