【疼痛検査】VAS.NRS,フェイススケールの評価方法を解説

Visual Analog Scale(VAS)

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  • 概要:横一線 10 cm(推奨) の直線。左端=痛みなし(0)、右端=想像し得る最強の痛み(10)。

  • 様式:両端以外に目盛は入れない(心理バイアス回避)。患者に現在の痛みの位置へ印をつけてもらう。

  • 記録:左端からの距離を mm単位で測定(例:VAS 74 mm)。小数を使う場合は 1位まで(例:7.4 cm)。

  • 利点/限界:連続量として感度が高い一方、視覚・理解力が必要。高齢者・小児・認知機能低下では不適。

10 cm以外(20 cmなど)を使う場合もありますが、0–100 mmの互換が利く10 cmが標準です。


Numerical Rating Scale(NRS)

  • 概要0–1011段階で現在/過去の痛みを自己申告。

  • 問い方の例

    • 現在の痛みは?(0=なし、10=最悪

    • 過去24時間の最強最弱平均は?

  • 利点口頭のみで可、最も普及。理解負荷が小さい

  • 注意基準(アンカー)を必ず提示。評価期間(今、24時間、1週間)も明記。


Face Scale(フェイススケール)

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  • 対象小児(概ね4歳以上)、高齢者、言語的説明が難しい患者。

  • 代表FPS-R(Faces Pain Scale–Revised):表情6段階を**0–10(偶数)**にマッピング。

  • 注意:文化差に配慮。「悲しい=痛い」にならない説明を短く行う。


記録の基本(どのスケールでも共通)

  • スケール名+数値+基準+期間 を必ず記載。

    • 例:NRS(現在、0=無痛/10=最悪):6

    • 例:VAS(今、0–10 cm):54 mm

  • アンカー文言を統一:スタッフ間で揺れを作らない。

  • 同一患者ではスケールの継続使用(比較可能性を担保)。


変化量の解釈(MCIDの目安)

  • 一般に、NRSで1–2点VASで10–20 mmの低下は臨床的に意味のある改善として扱われやすい(疾患・文脈で変動)。


痛みの性質(状況別の整理と記載例)

状況 典型的な示唆 記載のポイント
運動時痛 機械的刺激+軽度炎症で増悪 どの動作で、どの範囲で、再現性
安静時痛 炎症の強さ/神経痛/虚血など 姿勢変化での軽減有無、夜間の妨害
夜間時痛 炎症・体位性圧迫・一部虚血 体位依存性(仰臥で悪化/側臥で軽減など)
  • 肩の夜間痛は肩関節周囲炎/腱板病変でよくみられ、仰臥位で肩峰下スペースが狭くなり痛みが増すことがある。

  • ただし「夜間痛=虚血」は言い過ぎ血管性・腫瘍性・感染性などレッドフラッグも鑑別に。

併せて記載したい要素

  • 急性/慢性鈍痛/鋭痛/灼熱感/電撃痛放散の有無部位の明瞭さ炎症所見(発赤・腫脹・熱感)誘因・寛解因子


例:カルテへの短記載

  • NRS(現在, 0=無痛/10=最悪)=6。運動時肩外転で増悪、安静で軽減。夜間仰臥で増悪、側臥で軽減。発赤なし、圧痛+。


よくある質問(Q&A)

Q1. VASとNRS、どちらを使えばいい?
A. 現場の汎用性ならNRS感度重視の研究・詳細評価ならVAS。患者の理解度で選択します。

Q2. Face Scaleは誰に使う?
A. 小児・高齢者・言語的理解が難しい方。FPS-Rなど0–10へ換算可能な様式を選ぶと経時比較が簡単。

Q3. VASの線に目盛りは本当にダメ?
A. 両端以外の目盛は推奨しません。患者の選択が目盛に引っ張られる(アンカリング)ため。

Q4. 数値が同じでも“質”が違う気がする…
A. 量的スコアに加え、性状・誘因・部位をセットで記録。**疼痛機序(侵害受容/神経障害/中枢性感作)**の手がかりになります。

Q5. 改善の判定はどれくらいから?
A. 目安はNRSで1–2点VASで10–20 mmの変化。ただし目標は機能改善(睡眠、ADL、歩行距離等)と併記を。


最終更新:2025-10-02