VASやNRS、フェイススケールなどの代表的な疼痛検査について解説していきます。
この記事の目次はコチラ
Visual Analog Scale(VAS)
VASは横に引かれた10㎝(または20㎝)の直線を用いて、左端が「痛みなし」、右端が「今まで経験した最高の痛み」とした場合に、現在の痛みの程度を線上にチェックしてもらう方法です。
線に目盛りを付けていると心理的な要因が加わるため、両端以外は縦線を入れないようにし、評価結果は左端から何㎝のところにチェックがあるかを記載します。
通常は小数点第一位までを記載するため、「VAS:7.4㎝」というように判定します。
Numerical Rating Scale(NRS)
NRSは評価が非常に簡単なので、最もよく使用されている疼痛検査です。10段階ペインスケールとも呼ばれ、0から10までの11段階で痛みの程度を答えてもらいます。
方法には二つあり、ひとつは初診時あるいは治療前の最大の痛みを10とし、現在いくらになったかという痛みの軽減の度合いを評価する方法です。
もうひとつは、患者が今までに経験した最高の痛みを10とした場合に、現在はいくつであるかと質問し、現在の点数を評価する方法です。
数字や文字の記載された評価用紙を用いることもありますが、口頭のみで簡単に済ませてしまう場合のほうが多い簡易的な検査法です。
Face Scale(フェイススケール)
フェイススケールは、6つの表情が書かれた評価用紙を患者に見せることで、現在の痛みがどれに近いかを視覚的に直感で答えることができる検査です。
VASやNRSのように言語的な理解力を必要としないため、理解力の乏しい子供や高齢者などに対して使用されることが多い方法です。
痛みの性質についての記載
状況 | 原因 |
運動時痛 | 軽度の炎症+物理的刺激で痛みが起こる |
安静時痛 | 重度の炎症を引き起こしている |
夜間時痛 | 虚血障害を起こしている可能性が高い |
疼痛の評価に欠かさない要素として、痛みがどのような状況で起こるかについて記載する必要があります。主に①運動時痛、②安静時痛、③夜間時痛に分けられます。
特定の動作で痛みが生じる場合は、物理的刺激が関与していると予測されます。さらに、通常なら痛くないような動作の場合、軽度の炎症で疼痛閾値が低下していると考えられます。
炎症が重度の場合は安静にしていても痛むといった症状が現れますが、姿勢を変えることで痛みが楽になる場合もあるので、その変化についても記載します。
夜間時痛が発生しやすいのは肩関節周囲炎に伴う肩の痛みですが、その理由として、背臥位は烏口肩峰弓下間隙を狭小化させ、血流を障害することが原因として挙げられます。
また、上記以外にも、①慢性痛or急性痛、②鈍痛or鋭利痛、③痛む部位は明瞭or不明瞭、④炎症所見の有無についても記載しておきます。