オスグッド・シュラッター病のリハビリと予防法

オスグッド病の概要

  • 対象:成長期(主に10〜15歳、男子に多い)に起こる脛骨粗面の牽引性骨端炎

  • 原因の柱:成長スパート+大腿四頭筋による膝蓋腱の牽引(ジャンプ・ダッシュの反復)+フォームや可動域の偏り。

  • 症状:膝のお皿の下(脛骨粗面)の圧痛・突出・運動時痛

  • 原則痛みを増やす負荷を一時調整しつつ、柔軟性・筋力・走動作を整える。多くは保存療法で自然軽快


なにが起きている?

成長期は骨端(軟骨)が骨へ移行中。膝蓋腱が付く脛骨粗面は引っ張りストレスに弱く、繰り返しの伸展負荷(着地・ダッシュ・キック)で痛みや腫れが出ます。痛みの感知は主に骨膜。X線は必須ではなく、臨床所見で診断されることが多いです。


発生リスク(臨床でよく見るパターン)

  • 大腿四頭筋の硬さ/股関節伸展可動域の不足(大腿直筋が特にタイト)

  • 足部の過回内(オーバープロネーション)→膝が内側・屈曲位で着地しやすい

  • 骨盤後傾+胸郭前落ちフォーム(背中が丸く、膝を深く曲げて走る・跳ぶ)

  • 足関節背屈不足・ハムの柔軟性不足

  • 直近2–3か月の急な身長増加(成長スパート)


リハビリ方針(段階的に)

① 痛みの鎮静(急性〜亜急性)

  • 活動調整:痛みが0–3/10で収まる範囲に。ジャンプ・全力ダッシュ・坂走などは一時控える。

  • アイシング:運動後10–15分。

  • パッド/テーピング:脛骨粗面の圧迫回避パッド膝蓋腱ストラップは症状軽減に有用。

  • 等尺性膝伸展(痛み軽減目的):膝屈曲約60°で軽めに5×45秒(痛みを上げない強度)。

② 可動域・柔軟性の回復

  • 大腿四頭筋ストレッチ(最重要)

    • うつ伏せ or 立位で踵を殿部に近づける。脛骨粗面を直接圧迫しない姿勢で、30–45秒×3–5回

  • 股関節伸展可動域腸腰筋・大腿直筋ストレッチ。

  • 足関節背屈:ヒラメ筋・腓腹筋ストレッチ。

  • ハムストリングス:骨盤前傾を保ち股関節から曲げる(腰丸め禁止)。

③ 筋力・耐性の再構築

  • 膝蓋腱に優しい初期負荷

    • クローズドチェーンの軽負荷スクワット(浅め)ウォールシット(痛み0–3/10)。

  • 股関節主導に切替

    • ヒップヒンジ/ヒップスラスト殿筋・ハムを使う癖づけ。

  • 段階的エキセントリック(痛み落ち着いたら)

    • デクラインスクワット(15–20°):可動域と回数をゆっくり増やす。

  • 足部の支持性:必要に応じアーチサポートフットドリル(ショートフット)。

④ 動作再教育(フォーム修正)

  • 骨盤ポジション:過度な骨盤後傾+胸郭前落ちを是正。体幹をやや起こし、股関節ヒンジで吸収。

  • 着地戦略

    • 足部の過回内を抑え膝が内側に入らないライン。

    • ピッチや接地時間を調整し、深い膝屈曲に依存しない

  • キュー:「股関節で受ける」「体を前へ運ぶ」「膝はつま先と同方向」

⑤ 競技復帰の目安

  • 日常・階段・ジョグで痛み0–3/10以内が継続

  • 四頭筋ストレッチで過敏なし/左右差小

  • ジャンプ着地テストで痛み・崩れなし
    → ドリル → 50–70%練習 → 全体練習へ段階復帰


してはいけないNG

  • 脛骨粗面を直接圧迫する強いストレッチや前ももフォームローラー

  • 痛みを無視したジャンプ反復・全力ダッシュの継続

  • “安静のみ”で長期放置(柔軟・筋力・フォームが改善しなければ再発)


予防のコア

  • 週2–3回:四頭筋・腸腰筋ストレッチ股関節ヒンジ/殿筋トレ

  • 成長スパート期は練習量(ジャンプ総回数)と連日高強度を管理

  • シューズ・インソールの見直し(過回内が強いなら検討)


よくある質問(Q&A)

Q1:運動は完全に休むべき?
A:痛み0–3/10で収まる範囲なら種目・量を調整して継続可。痛みが上がる練習(全力ジャンプ等)は段階的に再開。

Q2:どれくらいで治る?
A:個人差がありますが、数週間〜数か月で軽快が一般的。成長が落ち着くと再発しにくくなります。

Q3:出っ張り(こぶ)は消える?
A:骨の変化が残ることはありますが、痛みがなければ問題なし。機能回復を優先します。

Q4:サポーターやテーピングは有効?
A:膝蓋腱ストラップ脛骨粗面パッドで痛み低減が見込めます。フォーム是正と併用が前提。

Q5:受診の目安は?
A:安静でも夜間痛/強い腫脹・発赤/発熱/ロッキングがあれば医療機関へ。鑑別(骨折・感染など)が必要です。


最終更新:2025-10-08