最近読んだ本にオステオパシーとカイロプラクティックの違いについて書かれていたので、ここで紹介していきます。
参考資料は「オステオパシー医学入門」になります。
オステオパシーは、1874年にアメリカのA・T・スティル博士によって設立されました。
カイロプラクティックは、オステオパシーより十数年後に考案された治療法で、アメリカのD・D・パーマーによって設立されました。
どちらも骨格(とくに脊柱)の調整を目的としたアメリカ生まれの手技療法で、共通点が多いことも違いがわかりづらいことに繋がっています。
史料によると、パーマー氏は当時オステオパシーの講習会を受けていたことが判明しており、またあるオステオパシーの専門家によって個人的に脊椎の矯正法を伝授された記録が発見されています。
以上のことから、カイロプラクティックはオステオパシーを参考として生まれたものであると現在では考えられています。
カイロプラクティックでは、主に脊椎のサブラクセーション(関節のズレ)によって神経が圧迫され、各機関の調節が悪くなり、身体の自然治癒力が低下して病気になるとされています。
そのため、治療はサブラクセーションのある椎骨を矯正することが主になります。
一方、オステオパシーでは全ての骨格関節および筋・筋膜の歪みを矯正して正常に戻し、全身の血液循環を改善させることが主になります。
また、創設期から腹部などの軟部組織の調整なども治療の対象としていました。
これらのことを考慮すると、オステオパシーと比較してカイロプラクティックは非常に限定的であるといえます。(悪い意味ではなく)
治療箇所を重要なところだけに絞り、かつシンプルにしたからこそ、これだけカイロプラクティックが広まったとも考えられます。
おそらく日本においての知名度はオステオパシーよりもカイロプラクティックのほうが上であり、現在では骨格矯正の代表的な治療法となっています。
カイロプラクティックでは、ときに体の可動範囲を超えて脊椎関節を動かすので怪我をするリスクを伴っています。
とくに頚椎に対する施術(アジャスト)で事故が起きた場合は、日本の整体師が加入している賠償保険では保険金が出ません。
それだけリスクが高いということであり、事故が起きた場合は傷害罪となるため、警察が介入することになります。
そのようなリスクを伴うカイロプラクティックですが、それに対してオステオパシーの技法はマッサージにちかく、ずっと穏やかなので有害事象が起こる可能性は低いです。
著者のS・パリッシュはどちらの治療法を研究しているようですが、どちらかというとオステオパシーに精通しているようです。
タイトルがオステオパシー医学入門ということもあり、オステオパシー側の主張のようにも感じますが、オステオパシーのほうが早くに設立されたことは間違いありません。
ここに書かれていることが正解とは限りませんし、カイロプラクティック側からの批判的な意見もあるかもしれませんが、あくまで本を参考にしただけなのでご容赦ください。
具体的な治療手技については詳しくないので割愛しますが、興味がある方は勉強してみるのもいいかもしれません。