シュロス法を用いた脊椎側弯症に対する呼吸パターンの修正

脊椎側弯症は、その80%以上が原因不明の特発性とされており、現在もまだ有効な保存療法が確立されていません。

学童期(4-9歳)に脊椎側弯症と診断されたケースでは、その80%が10歳以降の二次成長期に側弯が進行していくことが報告されています。

一度脊椎が捻じれてしまうと、常に傾いた下側への剪断力が加わるため、その向きに合わせて徐々にずれていくことになります。

また、脊椎の捻じれに伴って肋骨(胸郭)も回旋してしまうため、その状態で横隔膜が収縮するとさらに捻じれを助長することになります。

側弯症の呼吸パターン|シュロス法

胸郭は拡張された領域で働き、肺は良好な換気が可能な部位でのみ換気を実施しようとします。

その状態では、呼吸をするたびに変形を助長させる方向へのベクトルが働いてしまい、さらなる変形へと陥ってしまいます。

側弯症の代表的な治療法であるシュロス法では、呼吸パターンを整えることを治療の根幹においており、とても重要であることを提唱しています。

試しにですが、側弯症の患者をイメージして、脊椎を側弯させた状態で深呼吸を実施してみてください。

おそらく、あまり深い呼吸ができなかったのではないでしょうか。

そのため、呼吸パターンを修正するためには、まずはアライメントの崩れを軽減できる姿勢をとることが不可欠です。

そして、その状態から胸郭を下図の方向へ動かすように意識的な深呼吸を実施していきます。

側弯症の呼吸パターン|シュロス法2

左側は後方上方および側方上方、右側は前方上方および側方上方に動かします。

右側の肋骨を前方上方へ動かすためには、肩甲帯を水平牽引しておくことでより効果的に動かすことが可能となります。

上記の呼吸パターンを獲得できたら、呼吸をする度に脊椎の捻じれを矯正する方向へと力が働くため、とても効果的な方法となります。

側弯を矯正できる姿勢については、脊椎の形態によって様々ですので、そのあたりの細かい部分については原著を参考にしてみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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