シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。
シンスプリントの概要
スポーツ習慣者(とくに陸上競技)に多く発生する障害であり、脛骨内側中央から遠位1/3にかけての圧痛が認められます。
発生の基盤にはオーバーユースが存在しており、発症後は安静をとることが最も重要になります。
シンスプリントはX線画像では問題ありませんが、超音波画像では肥厚した骨膜を確認することができます。
足部外反と関係
シンスプリントの多くに足関節外反(足関節内反の場合もあり)が認められ、外反を制御する筋肉の影響があると考えられています。
具体的には、後脛骨筋と長趾屈筋の影響が指摘されており、それらの筋肉は脛骨骨膜と直接的に繋がっています。
足関節外反(オーバープロネーション)することで脛骨骨膜への牽引力が増強することになり、その反復ストレスが骨膜炎を引き起こします。
オーバープロネーションでは外見上の扁平足をきたしているので、まずは足部の状態を観察し、必要に応じてインソールの使用を検討します。
下腿よりも近位からのストレス
下腿よりも近位の影響を考える場合に、筋膜上の機能的な繋がり、さらに繋がり上に連結する筋の緊張についてみていく必要があります。
後脛骨筋や長趾屈筋に繋がる筋膜上の機能的な繋がりには、アナトミー・トレイン理論におけるDFLを知っておくと理解しやすいです。
とくに重要なのは大腿内側の筋肉(股関節内転筋群や内側広筋)で、それらに過緊張が存在すると筋膜を通じて脛骨骨膜にストレスを与えます。
シンスプリントは脛骨の近位からも遠位からも影響を受けやすいので、どこからの影響が強いかを考えることが再発予防につながります。
リハビリテーション
後脛骨筋や長趾屈筋は、足部がオーバープロネーションにあると足関節外反を制御するために緊張が増大し、さらに筋膜の滑走不全を引き起こします。
脛骨骨膜への牽引ストレスを減らすためには、それらの筋肉の緊張をやわらげ、滑走不全を改善することが必要です。
筋膜の滑走不全は、「下腿の近位1/3の脛骨後方」に好発しやすいので、触診で確かめながらリリースポイントを見つけていきます。
オーバープロネーションが認められる場合は、前述したように内側縦アーチのサポートがある足底板を使用することが推奨されます。
オーバーワークが引き金となっているケースも多いので、まずは負担を減らすために一時的に部活を休むことも有効です。
内側広筋や股関節内転筋群は、膝関節が外反位にあると膝外反を制御するために緊張が増大し、さらに筋膜の滑走不全を引き起こします。
その結果、脛骨骨膜への牽引ストレスを増大させるため、それらの筋肉の緊張をやわらげ、滑走不全を改善することは必要です。
筋膜の滑走不全は、「内側広筋の最も膨隆した部位」や「内側広筋と縫工筋の間」に好発しやすいのでリリースしていきます。