リハビリでバランスボールを使用する効果~腰痛改善~

リハビリのメニューとしても使用されるバランスボールですが、元々はイタリアのプラスチック製造会社より1963年に発売されました。

その後、スイスでリハビリテーションの道具として用いられるようになり、スイスボールとも呼ばれています。

そんなバランスボールの効果について解説していきます。

バランスボールの効果

関節構成体や固有受容器を刺激することによって、神経と運動器の協調性を強化することを目的として主に使用されています。

また、不安定な場所で姿勢を保つことから、インナーマッスルを中心とした身体の安定化をはかる筋肉を重点的に強化することが可能です。

バランスボールは高齢者からプロアスリートまで使用しており、運動効果の高いリハビリ道具のひとつです。

腰痛患者に対する効果

随意筋は脳からの命令(神経による電気信号)で動き出しますが、脳が必要と命令を出してオンとなるまでの時間を筋肉の発火時間と呼びます。

慢性腰痛患者においては、腹横筋の発火時間の遅延が指摘されており、反応が遅れることで脊柱の不安定化が生じる可能性が示唆されています。

そのため、バランスボールにて発火の遅延を改善することにより、腰部への負担を軽減する効果が期待できると考えられます。

バランスボールの選び方

リハビリの現場でも多用されているバランスボールですが、Amazonだと65㎝のサイズが1,000〜2,000円ほどで購入できます。

身長が150~165㎝なら55㎝、身長が165-180㎝なら65㎝、身長が180㎝以上なら75㎝のサイズが推奨されています。

バランスボールは空気を多めに入れることで難易度が高くなり、少なめにすることで簡単になります。

また、壁にバランスボールを密着させて、使用者が背中を触れながら使用することにより、運動の方向を絞りながら難易度を下げることも可能です。

転倒のリスクが高い場合は、手すりの前などで実施することで転倒を予防しながら実施してください。

基礎運動について

バランスボールを用いたリハビリ方法
  1. ボールの上に背筋を伸ばした姿勢で座る
  2. 膝関節を90度から僅かに屈曲させた状態で大腿及び下腿部の内側でボールを挟む
  3. 上記の姿勢から両足を浮かせた状態を保持する
  4. 運動中に足先が床に触れた場合はすぐに挙げて再開する

トレーニングメニュー

1.筋力トレーニング

 腹横筋・腹筋下部 大殿筋 腹斜筋
バランスボールを用いたリハビリ方法2 バランスボールを用いたリハビリ方法3 バランスボールを用いたリハビリ方法4

上の写真は、バランスボールを使用した筋力トレーニングの一例です。

バランスボールの重量と大きさを利用し、筋肉に負荷をかけながら実施していく運動メニューになります。

2.バランストレーニング

スイスボールでインナーマッスルを鍛える スイスボールでインナーマッスルを鍛える2

不安定な場所で状態を保つことにより、インナーマッスルを中心とした身体の微調整をはかるトレーニングを実施します。

筋力強化よりもバランス練習のほうがスイスボールの醍醐味だと思うので、実際に使用するならこちらがお勧めです。

ただし、難易度が高いので高齢者には難しいかもしれません。

効果のエビデンス

中・高年者の体力増進及び生活習慣病予防に関する研究(2000年)では、バランスボールを用いた12週間のトレーニングで姿勢安定性は前後方向よりも左右方向の方が大きかったと報告しています。

身体動揺に及ぼす研究では、体幹を随意的に動揺させた時の足圧中心の振幅は左右方向で有意な改善を示したと報告して、前述の研究結果を支持する内容となっています。

動的な場面での足圧中心の振幅増大は、有効支持基底面の広がりを示しており、歩行中の転倒防止にも役立つことを意味します。

よって、左右への転倒リスクが高い症例に関しては、積極的にリハビリでの使用を検討していいと考えられます。

しかしながら、転倒の危険性が高い人たちの大半は高齢者であり、バランスボールを使用したトレーニングは難しい場合もあります。

なので、危険性が少なく、かつ同等の運動効果が認められるものとして、高齢者にはバランスディスクをお勧めします。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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