リハビリテーションのゴール設定について

ゴール設定の意義

リハビリテーションにおいてゴールを設定することは、患者とセラピストが同じ目標を共有し、漫然としたリハビリを避けるために欠かせません。

また、ゴール達成の有無を確認することで、

  • 治療効果の判定

  • 治療法の妥当性の検証

  • 次のアプローチの改善

につながります。したがって、正しい知識を持ってゴールを設定することは、セラピストにとって必須のスキルといえます。

ゴール設定の位置づけ

ゴール設定は、急性期・回復期・維持期のすべての時期に必要なプロセスです。

近年は漫然とした維持期リハに対する見直しが進んでおり、今後もリハビリの必要性を示すには、効果判定と根拠に基づいた治療が求められます。

ゴール設定の5つのポイント

  1. 「方針」と「ゴール」を混同しない

    • 「速く走れるようになる」=方針

    • 「3カ月後までに100mを11秒で走る」=具体的なゴール

  2. 「いつ」「どうなるか」を明確にする

    • 期間と達成レベルを具体的に設定する。

  3. 「いつ」は一律に決めない

    • 病態や背景によって柔軟に設定。

  4. 経過や結果に先行して設定する

    • 先に目標を示し、その達成度を追う。

  5. 生活をイメージして設定する

    • 患者が生活を見据えた内容にする。

エビデンスに基づく設定

ゴール設定には医学的根拠(ビッグデータや研究結果)を活用することが重要です。

例:脳卒中患者の病棟歩行自立までの期間

入院時レベル 起き上がり自立 移乗自立 病棟歩行自立
寝返り自立 20日 38日 90日
起き上がり自立 32日 52日
移乗自立 26日

このようなデータを基に「入院時に寝返りが自立 → 病棟歩行自立まで約3カ月」と設定できます。

ただし、高次脳機能障害・認知症・筋緊張の状態などを加味し、経験則と組み合わせて精度を高めることが求められます。

職種別のゴール設定

総合的なゴールに加え、各職種が専門性に基づきゴールを設定することで、より明確な全体像が描けます。

  • 医師:病状や障害に関する予後予測

  • 看護師:リスク管理、ADL/IADLの目標

  • 理学療法士(PT):基本動作・移動能力

  • 作業療法士(OT):ADL・IADL能力

  • 言語聴覚士(ST):嚥下機能、コミュニケーション能力

  • ソーシャルワーカー(SW):生活管理、介護力、社会資源活用

まとめ

リハビリにおけるゴール設定は、単なる目標の共有ではなく、治療の方向性・効果判定・経過観察・生活支援すべてに直結する重要な作業です。

エビデンスと経験則をバランスよく組み合わせ、現実的かつ精度の高いゴールを設定することが、セラピストとしての力量を示すことにつながります。

常にPDCAサイクルを意識し、患者と共に目標を達成していく姿勢が求められます。


最終更新:2025-08-28