上腕骨内側上顆炎の概要
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定義:上腕骨内側上顆に付着する屈筋群・回内筋群の腱付着部障害。ゴルフ愛好者に多く「ゴルフ肘」とも。
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注意点:「上顆炎」という名称でも、実際は腱障害(tendinopathy)で炎症所見が乏しい例も多い。
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鑑別:「テニス肘」は外側上顆(伸筋群起始)に痛みが出る別疾患。
滑走不全のある筋・筋膜を鑑別
| 疼痛を誘発する動作 | 主に疑う筋 |
|---|---|
| 前腕回内 | 円回内筋、橈側手根屈筋 |
| 手関節橈屈 | 橈側手根屈筋 |
| 手関節尺屈 | 尺側手根屈筋 |
| 手関節掌屈 | 浅指屈筋、尺側手根屈筋 |
| 手指屈曲 | 浅指屈筋 |
※長掌筋は貢献度が低く原因になりにくい
日本整形外科学会の診断基準
- 抵抗性手関節掌屈運動で肘内側に疼痛が生じる
- 内側上顆の屈筋群腱起始部に最も強い圧痛がある
- 腕撓関節の障害など屈筋群起始部以外の障害によるものは除外する
重症度と復帰目安
| 1.軽度の場合 |
| 握力が健側の2/3以上 |
| ゴルフ後や練習中にたまに痛む |
| 復帰までは1-4週間 |
| 2.中等度の場合 |
| 握力が健側の2/3以下 |
| 練習中はいつも痛む、ドアノブをひねる動作でも痛む |
| 復帰まで1ヶ月以上は要する |
| 3.重度の場合 |
| 握力が健側の1/3以下 |
| ゴルフクラブを握るだけで痛みが出る |
| 復帰まで2ヶ月以上を要する |
画像所見
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MRIで明確な炎症がない例も多い。超音波で腱肥厚・変性・付着部の痛点を確認できることも。
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炎症優位か腱変性優位かで、負荷設定と手技の選択が変わる。
評価の流れ(最短ルート)
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圧痛:内側上顆〜屈筋群起始部。
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抵抗テスト:抵抗掌屈/抵抗回内/抵抗尺屈・橈屈で痛み。
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伸張テスト:肘伸展+手関節背屈+前腕回外で痛み再現(ゴルフ肘テスト)。
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原因筋の切り分け:上表の動作で誘発→局在化。
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近位因子:肩〜肩甲帯の筋力・可動性、握り方・作業姿勢、反復負荷量。
リハビリテーション
1) 負荷管理(最優先)
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痛み0–3/10でコントロールできる範囲に量・頻度・強度を調整。
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カウンターフォースブレース(前腕近位に装着で起始部負担↓)。
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炎症期や夜間痛には手関節中間位スプリントの休息固定が奏功することも。
- 連続作業(タイピング・工具)では休憩とストレッチをルーティン化。
2) 手技(滑走不全へのアプローチ)
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体位:背臥位・前腕回外位。
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内側上顆→尺骨近位を指腹でトレースし、滑走不全部に持続圧+短距離ストロークでリリース。
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個別筋:
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円回内筋:近位腱膜〜筋腹の横スライド、回内-回外で組織誘導。
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尺側手根屈筋/橈側手根屈筋/浅指屈筋:筋間の滑走面を意識して層ごとに分離。
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3) ストレッチ(ホームエクササイズ)
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肘伸展+前腕回外+手関節背屈で屈筋群を20–30秒×2–3回。
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指屈筋を狙う日は指も伸展して実施。反動NG、痺れ・鋭痛は中止。
競技復帰の目安
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握力左右比≥80–90%、特異動作で痛み**≤2/10**、翌日の痛み増悪なし。
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フルスイング前にチップ→ハーフ→フルの段階復帰。
スイング・作業フォームのヒント
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インパクト中心で捉え、過剰な回内×掌屈の同時出力を避ける
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力みはスイング全域で減らし、インパクト近傍のみ出力
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グリップは厚さ・硬さを再検討(過度な把持力を避ける)
よくある質問(FAQ)
Q. 内側と外側が同時に痛むことは?
A. あり得ます。 握り方・近位不安定性・反復負荷が強いと両上顆に波及。誘発動作×圧痛部位で切り分けを。
Q. 注射や手術の適応は?
A. 原則は保存療法。 長期難治、断裂疑い、強い付着部変性では専門医に相談。まずは負荷管理+運動療法を十分に。
Q. ブレースはいつ使う?
A. 痛みの強い時期や作業・練習で悪化しやすい局面で一時的に。痛みが落ち着いたら段階的に離脱。
最終更新:2025-10-14

