下肢静脈瘤の概要
-
下肢静脈瘤は、足の表在静脈の弁が壊れて血液が逆流・うっ滞し、こぶ状に膨らむ状態。
-
命に直結することは稀ですが、むくみ・だるさ・かゆみ・こむら返りなど生活の質を下げます。
-
罹患は年齢とともに増加。立ち仕事・妊娠出産の既往・家族歴があるとリスクが高いです。
なぜ起こる?
静脈は逆流防止弁とふくらはぎ筋ポンプで血液を心臓に戻します。弁不全が生じると逆流し、障害部位より遠位に鬱血→静脈が拡張して瘤になります。
主な症状
-
見た目の血管の膨らみ・蛇行
-
夕方に強いむくみ・重だるさ・かゆみ
-
皮膚の色素沈着・湿疹、夜間のこむら返り
-
進行例ではうっ滞性皮膚炎・潰瘍
静脈うっ滞で毛細血管圧が上がると組織液が増え、リンパ吸収を上回って浮腫になります。
タイプ別の特徴と治療の概略
-
伏在静脈瘤(最多・約70%)
-
大伏在/小伏在静脈の弁不全。範囲が広く症状(むくみ・だるさ)が出やすい。
-
血管内焼灼(レーザー/高周波)、ストリッピング、フォーム硬化療法などが第一選択。細径部は圧迫療法も併用。
-
-
分枝静脈瘤
-
伏在から分岐した枝に限局。2–3mm程度で自覚症状は乏しいことも。
-
フォーム硬化療法や圧迫療法で対応。放置で伏在静脈瘤へ進行することがあるため要管理。
-
-
網目状静脈瘤
-
膝窩部に細い青い網目状血管(1–2mm)。美容的主訴が中心。
-
フォーム硬化療法が主。
-
-
クモの巣状静脈瘤
-
毛細血管レベル(0.1mm以下)。症状はほぼなし。
-
美容目的で微細硬化療法を行うことがある。
-
「深部静脈血栓症(DVT)」に注意
-
深部静脈は全血流の約90%を担う太い静脈。術後・長期臥床などで血栓ができると痛み・腫れ・片側の著明なむくみ。
-
代表的所見:圧痛、片側腫脹、ふくらはぎ周径差≥3cm、圧痕浮腫、表在側副静脈のうち3つ以上+他疾患除外で疑いが高まる。
-
息切れ・胸痛を伴えば肺塞栓の可能性があり至急受診。
リハビリ/保存的管理(弁不全は治せないが「流れ」を良くする)
1) 運動療法(筋ポンプ強化)
-
カーフレイズ(ゆっくり10回×3–5セット/日)
-
足関節の底背屈ポンピング、ウォーキング(圧迫着用下だと効果的)
-
休憩時は下肢挙上(心臓より高く10–15分)
2) 圧迫療法(弾性ストッキング/包帯)
-
外圧で逆流・うっ滞を抑え、再貯留を防ぐ。
-
圧は病期・部位で調整(一般に20–30mmHg~30–40mmHg)。専門家の採寸・指示で選択を。
-
動脈疾患・感染・皮膚潰瘍の状況次第では禁忌/慎重。異常時は中止して受診。
3) 生活習慣
-
長時間立位/座位を避け、こまめに足関節運動
-
入浴で血流改善+湯中の膝屈伸
-
体重管理、便秘や咳のコントロール(腹圧上昇は逆流助長)
-
皮膚の保湿・清潔でうっ滞性皮膚炎を予防
4) 侵襲的治療の目安
-
保存療法で改善乏しい、うっ滞性皮膚炎/潰瘍、強い自覚症状、伏在本幹の明らかな弁不全 → 血管内焼灼・硬化療法・ストリッピングを検討(医師判断)。
よくある質問(Q&A)
Q. 下肢静脈瘤は治りますか?
A. 壊れた弁は自然には治りません。運動+圧迫で症状は十分軽減できます。根治は血管内治療/手術が有効です。
Q. 弾性ストッキングは何時間着ける?
A. 日中活動時に着用し、就寝時は外すのが一般的。むくみ・皮膚状態で調整し、合わない違和感や痛みがあれば中止して相談を。
Q. マッサージだけで良くなりますか?
A. 心地良さはありますが対症的。筋ポンプ運動・圧迫・生活調整を組み合わせると効果が持続します。
Q. いつ受診すべき?
A. 急な片脚の強い腫れ/痛み/熱感、息切れ・胸痛はDVT/肺塞栓の可能性。すぐ受診してください。
美容・症状いずれでも、進行や皮膚症状がある場合は血管外科へ。
最終更新:2025-10-05