臨床のヒントになりそうなことを雑感としてメモっておきます。
脊椎側弯症の基本的な治療方針としては、凸側の筋力強化、凹側のストレッチングになるかと思います。
しかしながら、実際に側弯症の患者のMRIを確認してみると、凹側の多裂筋が重度に脂肪変性している場合が多いです。
構築性(特発性)側弯症の腰椎は基本的に左凸(右側屈)しているので、臨床的には左側の多裂筋を鍛えるのが正解かと思います。
しかし実際は脂肪変性が起きるのは右側の多裂筋です。
筋肉に脂肪変性が生じてしまうと不可逆的なので、もう二度と元に戻ることはありません。
もちろん若いうち(少なくとも学生まで)は脂肪変性が起きることはないので、早い段階から将来的な変性を予防することが重要です。
なぜに脂肪変性が起きたかを想像するのは容易で、おそらくは側弯の影響で筋肉を使用することができなくなったためだと推察されます。
反対に凸側の左多裂筋に脂肪変性がないのは、側屈を支えるために常に緊張を強いられていたことが理由だと考えられます。
ここまでを考慮したうえで運動方法を考えるなら、立位で腰椎を左側屈し、左手に重錘を持つことで右多裂筋を遠心性収縮させます。
このときに胸椎まで左側屈しないように注意が必要です。
臨床では凸側の筋力強化ばかり考えがちですが、凹側の筋肉を使用することもぜひ考慮してみてください。