膝内側側副靭帯(MCL)損傷のリハビリ治療

膝内側側副靱帯の概要

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  • 付着:大腿骨内側上顆 → 前方へ走行し 脛骨近位内側面 に停止。

  • 役割

    • 外反(膝が内側へ折れる力) に対する最重要の受動安定化。

    • 前方不安定性(ACL補助)への軽度の制動。

    • 深層線維が内側半月板と強固に結合⇒半月板安定化にも関与。


損傷の起こり方

  • 直接外力:膝外側からの打撃で外反位を強制。

  • 間接外力:サッカー/バスケ等の急な方向転換や着地

    • このタイプはACL・内側半月板損傷の合併が多く、MCL単独は稀

  • ヒント:受傷直後から関節液が大量に貯留するなら、関節内損傷(ACL/PCL・半月板・骨折)合併を疑う。MCL単独(関節外)は大量血腫になりにくい。


よく損傷する部位

  • 多くは大腿骨側付着部靱帯実質部

  • 脛骨側の圧痛は、表層の鵞足炎を鑑別。


臨床評価(重症度)

外反ストレステスト

  • 伸展位・30°屈曲位で外反ストレスを加え、疼痛・動揺性を判定。

Grade 病態 所見の目安
1 伸長(微小損傷) 圧痛+、30°屈曲位の動揺−
2 部分断裂 30°屈曲位の動揺+、伸展位の動揺−
3 完全断裂 伸展位・30°屈曲位とも動揺+

Grade3では関節包/ACL合併損傷の頻度が高い。

画像

  • X線:骨片/Avulsionや骨アライン確認。

  • MRI:靱帯の連続性・輝度変化、付着部損傷、半月板/ACL合併評価に有用。


治療選択

保存療法(原則)

  • MCL単独損傷は保存が基本。

  • 固定目安

    • Grade1:1–2週

    • Grade2–3:4–5週

  • 方法:外反を抑えるヒンジ付き装具/ギプス、疼痛期は免荷(松葉杖)

  • 早期から:疼痛非誘発のROM大腿四頭筋アイソメトリック腫脹管理

手術適応

  • 完全断裂で高度不安定かつACL等の合併、裂離骨折の整復が必要な例、保存で不安定性が残存する例。

  • 代表:縫合修復アンカー補強、合併損傷に応じた同時手術。


リハビリの道筋(目安)

  1. 保護期(〜2–3週)

    • 装具で外反制限。RICE、膝伸展保持、四頭筋セッティング、足関節ポンプ。

  2. 可動化期(3–6週)

    • 痛みのない範囲で膝屈伸ROM、CKC軽負荷(荷重線を膝中心に、外反しないフォーム)。

  3. 機能回復期(6–10週)

    • 大腿四頭筋/ハムストリング、股外転・外旋筋(ニーイン抑制)、バランス訓練。

  4. 復帰期(10週〜)

    • 方向転換・着地ドリル、外反・膝内旋を伴わない着地の徹底。

    • 競技復帰は痛みなし・可動域左右差最小・外反ストレス陰性・機能テスト合格を条件に。


受傷しやすいフォーム(予防)

  • ニーイン(膝内向き)+足部過回内(扁平足)+体幹前傾不足外反+脛骨前方変位↑

  • 予防は

    • 股関節外転・外旋筋(中殿筋・梨状筋等)の強化、

    • 足部アーチの管理(フットウェア/インソール検討)、

    • 着地指導(膝はつま先と同方向、股・膝の屈曲量を確保、体幹安定)。


よくある質問(Q&A)

Q1. MCLは治りやすい?
A. 関節外靱帯で血行が比較的保たれるため、単独損傷は保存で治癒しやすい部位です。

Q2. いつ競技に戻れる?
A. 重症度と合併損傷で変動しますが、Grade1で数週〜、Grade2で2–3か月前後が目安。機能テスト合格と外反痛・動揺がないことが前提。

Q3. 大量の関節水腫があるのにMCLだけと言われた…
A. MCL単独では大量関節液はまれACL/半月板/骨挫傷の合併をMRIで再評価してもらいましょう。

Q4. 家でできる予防エクササイズは?
A. クラムシェル、ヒップヒンジ、片脚スクワット(鏡で膝とつま先の向きを合わせる)。足部はアーチ意識で過回内を抑制。


最終更新:2025-10-05