内臓マニピュレーションの方法について解説していきます。
内臓マニピュレーションとは
内臓に対して徒手での操作を加えることにより、内臓の移動力や可動力、自動力を改善することを目的としています。
移動力とは、たとえば体幹を右に傾けると右側の臓器は左側に移動しますが、その移動のスムーズさを指します。
可動力とは、器官と近接している体壁や横隔膜、筋膜、他の器官との間に生じる動きの変化を指します。癒着などがみられると可動力は低下します。
自動性とは、臓器は意識しなくても横紋筋や平滑筋が勝手に動いてくれることで自動的に働いていますが、その不随意な動きのことを指します。
なぜ内臓にアプローチする必要があるのか
療法士が内臓マニピュレーションを実施する理由として、臓器の移動力や可動力の低下が身体の動作制限を起こすことが理由として挙げられます。
体幹の可動域が制限されている場合、それは脊椎周囲だけの問題ではなく、臓器の動きが制限されている可能性も考えられるのです。
問題意識を内臓まで広げることで、関節や筋肉へのアプローチだけでは改善しない症例に対しても、さらなる治療を行うことができます。
チャップマンの反射点
内臓に問題があるかを徒手的に調べる方法として、チャップマンの反射点が有効な手掛かりとなります。
チャップマンの反射点とは、筋膜の深層にできた内蔵のトリガーポイント(またはツボ)と理解していただくとわかりやすいかと思います。
大きさは3-5㎜程度であり、形は豆状やひも状、または形状を伴わず分散している場合もあります。
反射点を用いた治療法
チャップマンの反射点に触れる際は一本指で軽く圧迫し、患者に痛みや違和感などがないかを確認しながら診ていきます。
過敏となっている場合は、反射点に応じた臓器に問題があることが疑われます。
反射点は主に臓器の状態を把握するための診断ツールとしての役割が大きいですが、反射点をそのものを治療に用いることも可能です。
治療の方法は、一本指で反射点を軽く圧迫したまま、やさしく指を回転させるようにしながらマッサージをしていきます。
作用原理としては、リンパ液に動きを与えるといった説や、自律神経系を通じて内臓に影響を与えるといった説があります。
まだまだ浸透している手技ではありませんが、見識や治療の幅を広げるために学んで損はない方法だと思います。