内閉鎖筋(obturator internus)

内閉鎖筋の概要

内閉鎖筋(obturator internus)は殿部深層に位置する筋肉で、股関節深層外旋六筋のひとつです。大腿方形筋と並び、強力な外旋筋として股関節の安定に寄与します。

走行は特徴的で、上双子筋と下双子筋の間を通り、小坐骨孔を貫通して骨盤内から外側へ出ます。表層は大殿筋に覆われています。


基本データ

項目 内容
支配神経 仙骨神経叢
髄節 L5–S2(報告によりS1–S2主体/L5寄与あり)
起始 閉鎖膜の骨盤側面およびその周囲の寛骨内面
停止 大腿骨大転子内側面(上内側部)
栄養血管 主に下殿動脈内陰部動脈分枝(obturator internusへの枝)
作用 股関節外旋(屈曲位では外転補助),関節包の張力調整による安定化
筋体積 約43 cm³
筋線維長 約4.7 cm
速筋:遅筋 50:50

深層外旋六筋とは

梨状筋内閉鎖筋外閉鎖筋上双子筋下双子筋大腿方形筋
総じて股関節外旋後関節包の張力維持に関与し、前捻角が大きい股関節片脚立位での安定化に重要です。

臨床での貢献度(要約)

  • 外旋トルク大殿筋が最大。深層群では大腿方形筋内閉鎖筋の寄与が比較的高い傾向。

  • 筋出力量の順位は研究により差がありますが、大腿方形筋 ≧ 内閉鎖筋 ≧ 梨状筋の順で報告されることが多い、程度の理解が安全です。
    (定量値や厳密な順位は評価条件・関節角度で変動)

触診のコツ(安全で再現性のあるランドマーク)

  • 体位:側臥位または腹臥位。

  • ランドマーク坐骨結節と大転子の間の深部に指腹で圧入。小坐骨切痕〜坐骨棘周囲を意識。
    閉鎖孔外側からの直接圧は外閉鎖筋や周辺軟部に触れてしまうことが多く、内閉鎖筋の選択的触診には不向き。

  • 誘発:股関節軽度屈曲位で等尺性外旋を指示し、深部の収縮を触知。


ストレッチ方法

  • 姿勢:腹臥位

  • 方法:膝を屈曲 → 手で前足部を内側から把持 → 足部を外側に倒しながら股関節を内旋

  • 注意点:骨盤が反対側に回旋しないように固定


筋力トレーニング

  • セラバンドを足部前方に固定

  • 下肢を外旋方向へ動かし、抵抗をかけながらトレーニング

  • 股関節外旋筋群の安定性向上に有効


関連する疾患・臨床的意義

  • 変形性股関節症

  • 大腿骨頚部骨折

手術との関係

人工股関節置換術(THA)や人工骨頭置換術では、外旋筋群が切離されることがあり、術後は後方脱臼のリスクが高いです。
👉 特に、股関節屈曲+内転+内旋の組み合わせは危険であり、術後早期には避けるべき動作です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 内閉鎖筋はどこで触診できますか?
A. 殿部深層にあり、大殿筋の下層を圧迫するようにして触診します。閉鎖孔付近に圧痛点を確認できることがあります。

Q2. 内閉鎖筋は日常動作でどのように働きますか?
A. 歩行や立位での股関節安定化に寄与し、特に片脚支持時に股関節が過剰に内旋しないように働きます。

Q3. 内閉鎖筋が硬くなるとどんな症状が出ますか?
A. 股関節の外旋制限や殿部深層の痛み、梨状筋症候群と類似した坐骨神経痛様の症状を起こすことがあります。

Q4. 内閉鎖筋のストレッチの注意点は?
A. 骨盤が回旋しないよう固定し、股関節だけを内旋させることが重要です。無理に伸ばすと腰部や他の筋に負担がかかります。


最終更新:2025-10-16