内側半月板損傷のリハビリ治療

内側半月板損傷の概要

  • 半月板は膝の荷重分散・衝撃吸収・関節安定化・潤滑・軟骨栄養に寄与。内側と外側の2枚。

  • 損傷は大別して外傷性断裂(若年・スポーツ)と変性断裂(中高年)

  • 60歳以上では無症候でも内側後節のMRI異常が約4割で見られる報告があり、画像異常=疼痛原因とは限らない点に注意。

受傷機転とリスク肢位

  • 内反膝(O脚)+内側荷重増、**下腿外旋位(ニーイン・トーアウト)**で内側後節にストレス集中。

  • 下腿外旋過多では、深屈曲時の下腿内旋不足 → 後節の挟み込みが生じやすい。

  • 若年外傷ではACL/MCLとの合併が多く、機械的症状(ロッキング、クリック、膝崩れ)を伴いやすい。

  • 高齢の変性例は明確な受傷契機なしで徐々に進行(骨形態・下肢アライメント・体重・活動量などの影響)。

半月板の基礎知識(要点)

  • **辺縁部(赤帯)**は血行あり→縫合で治癒が期待できる。**内側(白帯)**は血行乏しく縫合不利。

  • 神経は基本的に半月板実質には少ないが、周辺滑膜・辺縁部は痛みの発生源になりうる。

  • 断裂型:**縦断裂/バケツ柄・横(水平)・放射状・フラップ・根部(posterior root)**など。**根部断裂+押し出し(extrusion)**は内側荷重の局在化を強めやすい。

鑑別と徒手検査

  • McMurray:膝屈曲→下腿外旋で伸展し疼痛/クリック陽性(感度・特異度は中等度)。

  • 内側関節裂隙圧痛:前/中/後で分けて評価。

  • 併せて症状誘発状況で部位推定

    • 歩行・荷重で痛い→大腿脛骨関節(滑膜炎・半月板)

    • 立ち上がり・階段で前膝痛→膝蓋大腿関節(膝蓋下脂肪体・軟骨)

  • **ラテラルスラスト(外方動揺)**は内側関節の荷重集中の指標。

画像検査

  • X線:関節裂隙・骨棘・アライメントを把握(体重負荷像推奨)。

  • MRI:断裂の型・範囲・根部損傷/押し出し・骨髄浮腫を評価。
    画像所見と症状は必ずしも一致しないため、臨床所見を優先して総合判断

手術適応と留意点

  • 縫合術:若年、赤帯にかかる縦断裂/バケツ柄/新鮮断裂などは温存優先。

  • 部分切除:変性断裂で縫合不適、機械的ロッキング・引っ掛かりが持続する症例。

  • 全切除は可及的回避(変形性関節症進行リスク増)。

  • 鏡視下手術は膝蓋下脂肪体への侵襲があるため、脂肪体が主痛源の症例では術後疼痛が残存/悪化しうる点に留意。

リハビリテーション(実務プロトコル)

目標

  1. 痛み/腫脹のコントロール

  2. アライメント・動的安定性の回復(内反・下腿外旋の是正)

  3. 機械的刺激の低減(荷重線調整・装具/テーピング)

介入の柱

  • ROM:伸展制限の解除(ターミナルエクステンション)、屈曲は疼痛範囲で。

  • 筋機能

    • 内側広筋(VMO)・内転筋群の活性化

    • 中殿筋・大殿筋で骨盤外方位を矯正(片脚立位での骨盤正中保持)

    • 下腿外旋に関与する腸脛靱帯・外側広筋・外側ハムの過緊張をリリース

  • 動作再学習:ニーイン・トーアウトの是正、歩行時の内側化した荷重線の修正

  • 装具:症例により外側からの圧迫型サポーター外反(valgus)オフローダーブレースを検討。

  • テーピング:下腿外旋の修正テープで痛み変化を確認→有効なら短期併用。

  • 有酸素/下肢持久:疼痛許容内で早期から(自転車など)。


よくある質問(Q&A)

Q1. 画像で半月板断裂があれば必ず手術ですか?
いいえ。無症候の断裂は珍しくありません。ロッキングなど機械的症状が強い、若年赤帯の新鮮縦断裂などを除き、まずは保存療法を検討します。

Q2. 変性断裂で痛みが強いときの第一選択は?
痛み/腫脹の管理+アライメント是正+動的安定性の回復が基本。伸展制限解除と荷重線修正が鍵です。

Q3. 手術をしても痛みが残るのはなぜ?
疼痛源が**半月板以外(滑膜炎・脂肪体など)**にある、切除に伴う荷重集中アライメント不良の未是正などが背景にあります。

Q4. 根部(posterior root)損傷は何が問題?
半月板の輪状線維が機能喪失し、押し出し(extrusion)→荷重集中が起きやすく、変形進行のリスクが高まります。適応あれば縫合再建の検討

Q5. サポーターは有効?
外側圧迫型外反オフローダーは、亜脱臼傾向・内側荷重集中の軽減に有用なことがあります。短期的に疼痛が下がるかで適応判断します。


最終更新:2025-10-18