この記事では、半膜様筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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半膜様筋の概要
半膜様筋はハムストリングスの中で最も体積が大きく、半腱様筋の深層に位置している強力な筋肉になります。
半膜様筋と半腱様筋は内側に位置するため内側ハムストリングスと呼ばれ、大腿二頭筋は外側ハムストリングスと呼ばれます。
内側ハムストは筋出力を発揮するために速筋線維が豊富で、外側ハムストは姿勢制御に関わるために遅筋線維が豊富です。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 脛骨神経 |
髄節 | L5-S2 |
起始 | 坐骨結節 |
停止 | 脛骨内側顆内側部から後部、斜膝窩靱帯、膝窩筋筋膜、膝後方関節包、後斜靱帯、内側半月板 |
栄養血管 | 大腿深動脈、殿動脈 |
動作 | 股関節の伸展
膝関節の屈曲、下腿の内旋(膝屈曲時) |
筋体積 | 347㎤ |
筋線維長 | 7.5㎝ |
速筋:遅筋(%) | 50.0:50.0 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
股関節伸展 |
膝関節屈曲 |
1位 | 大殿筋 | 半膜様筋 |
2位 | 大腿二頭筋(長頭) | 半腱様筋 |
3位 | 大内転筋 | 大腿二頭筋 |
4位 | 半膜様筋 | 腓腹筋 |
5位 | 半腱様筋 | 薄筋 |
ハムストリングスはその筋腹の位置から、半膜様筋は膝関節屈曲に、大腿二頭筋長頭は股関節伸展に強く作用する。
半膜様筋の触診方法
写真では、うつ伏せの状態から膝関節の屈曲運動を反復させて、膝窩内側で膨隆する腱を触診しています。
膝窩の中心にある腱が半腱様筋腱で、外側にある腱が半膜様筋腱になります。
半膜様筋は半腱様筋の深層で幅広く位置しているため、扁平で大きな筋肉であることを意識すると簡単に触れることができます。
ストレッチ方法
長坐位にて片脚を屈曲させ、ストレッチ側の脚を内転位とし、その状態で骨盤を前傾していきます。
膝関節をやや屈曲すると近位部を、伸展位すると遠位部を伸張できます。
筋力トレーニング
腹臥位で足首に重錘を付けて膝関節を屈曲させる運動で、負荷は低めですが、他の運動と比較して代償運動が少なく実施できます。
アナトミートレイン
半膜様筋はアナトミートレインの中で、SBL(スーパーフィシャル・バック・ライン)に繋がっています。
内側ハムストリングスにトリガーポイントが生じると、トリガーポイントより遠位に痛みが放散するため、膝窩部から下腿後面に痛みを訴えます。
歩行時の筋活動
遊脚終期(TSw)から膝関節伸展の減速のために遠心性に収縮し、その後は立脚中期(MSt)まで活動して膝関節屈曲に作用します。
関連する疾患
- tight hamstrings
- 膝関節屈曲制限
- 内側半月板損傷
- 慢性腰痛症
- ハムストリングス遠位部の肉離れ etc.
tight hamstrings
半膜様筋は膝関節屈曲モーメントが生じることで張りますが、その原因に、①膝関節伸展荷重、②骨盤前傾位、③COM前方位、④COP前方位があります。
骨盤前傾位では股関節屈曲位荷重となりやすく、それを補うように膝関節伸展位荷重を引き起こします。
内側ハムストリングスがタイトの場合は、膝窩の筋膜に滑走不全が生じ、膝窩部痛の原因となります。
膝関節屈曲制限
半膜様筋は膝関節の後方関節包や内側半月板に付着しており、膝を曲げる際に後方に引っ張り出す作用を持っています。
また、半膜様筋は下腿を内旋させる作用を持っており、膝を深屈曲(正座)させるときにも内側半月板が挟み込まれるのを防ぎます。
半腱様筋も下腿の内旋に作用しており、その作用は半腱様筋のほうが強いです。
以上のことから、内側半月板後節損傷と内側ハムストリングスは密接に関わっており、下腿を内旋させながら膝を屈曲することで収縮を促していきます。