変形性足関節症(足OA)のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。
足関節の概要
足関節は、①距腿関節、②距骨下関節、③横足根関節(ショパール関節)の3つから構成されています。
足関節は荷重関節でありながら、股関節や膝関節と比較して変形(痛み)の発生頻度が非常に少ない関節のひとつです。
その理由として、安定した骨性の構造に加えて靭帯による補強効果も高く、距腿関節の負荷を距骨下関節が代償することが挙げられます。
足関節の中間に距骨が介在することのメリットとしては、①可動性が増える、②衝撃吸収力が増えるなどの理由があります。
距腿関節においては、内果より外果のほうが10㎜ほど長く、側方安定性は外側の方が高いことが挙げられます。
ただし、距骨下関節では距骨が内側に滑り落ちやすく、過度な回内(オーバープロネーション)を呈していることが多々あります。
足関節の動きを理解しやすい図
足関節の動きは、距腿関節で背屈・底屈、距骨下関節で回内・回外・内転・外転の動きを担っています。
足関節は他にも外反と内反の動きがありますが、外反は背屈・外転・回内の複合運動で、内反は底屈・内転・回外の複合運動になります。
変形性足関節症は踵骨の内反変形のことを指しており、足関節の内側の間隙が狭くなった状態で、最終的には全体の間隙が狭小化します。
骨折や捻挫などの外傷で関節炎を起こした後に発生しやすく、長期の固定なども変形を助長させる原因となります。
扁平足と凹足
扁平足は内側縦アーチ(土踏まず)が低下した状態で、距骨下関節は回内位(足関節外反位)にあります。
内側縦アーチが低下すると第1中足骨の荷重が増加し、外転・回内して荷重範囲を拡げて、結果的に外反母趾を引き起こします。
それに対して、凹足は土踏まずが高くなっており、距骨下関節は回外位(足関節内反位)にあります。
凹足は足関節背屈や外反といった動きが制限されるため、内反捻挫を起こしやすい状態になっています。
歩行補助具を使用した免荷歩行
足関節に炎症が認められる場合は、早期の消炎を図るために患部の安静が第一となり、必要に応じて歩行補助具を使用します。
以下に、代表的な歩行補助具と免荷の割合について記載します。(歩行器はつま先のみを接地した場合)
方法 | 免荷 |
歩行器 | 80% |
松葉杖 | 67% |
ロフストランド杖 | 33% |
Q杖(四点杖) | 30% |
T杖(一本杖) | 25% |
関節可動域の維持改善
変形性足関節症では背屈と外反の可動域が制限されやすいので、足を内後方に引くようにして背屈と外反運動をリズミカルに実施していきます。
運動は疼痛のない範囲内で行い、徐々に関節可動域を拡げるようにしながら段階的に進めていきます。
すでに拘縮がある場合は自主運動のみでは改善が難しいので、原因組織を温めてからストレッチや関節モビライゼーションを行います。
ストレッチの対象となりやすい組織は内反に作用する筋肉で、後脛骨筋と長母趾屈筋を主体に屈筋支帯まで含めて実施していきます。