近年、その効果の高さから注目されている大腰筋のトレーニング方法についてまとめてみました。
この記事の目次はコチラ
大腰筋の位置について
大腰筋は下部脊椎(Th12-L5)に起始を持ち、大腿骨の小転子に停止しています。上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉になります。
主な作用は、①脊椎の安定化、②腰椎前弯の形成、③股関節の屈曲(歩行時の初期動作)になります。
人間とサルの違いは大腰筋
人間とサルはほとんど同じ筋肉を持っていますが、一ヶ所だけ例外に違う筋肉があります。それが大腰筋です。
サルにも大腰筋らしきものはありますが、付着部位が大きく異なっており、それが二足歩行ができるかどうかを分けていると考えられています。
そのため、生涯を通じて歩き続けるためには、大腰筋を弱化させないことがなによりも大切であるといえます。
脚の速さは大腰筋の太さに比例する
太ももなどのいわゆる脚の筋肉の太さと脚の速さはあまり比例しないことがわかっています。では、どの筋肉が発達しているのかというと、それが大腰筋になります。
一般的な陸上選手と上位のトップランナーでは、脚の太さはあまり変わりませんが、総じて大腰筋の太さが違うことがわかっています。
黒人の大腰筋は白人よりも倍以上に断面積が大きいという報告があり、それが陸上のトップ選手に黒人が多いことの理由と考えられています。
大腰筋が衰えると転倒の危険が上がる
二十歳を過ぎたら、毎年1%ずつ筋力は衰えていきますが、これは大腰筋も例外ではありません。
大腰筋は足を上げる(股関節を曲げる)筋肉ですので、衰えると歩行時に足の上がりが少なくなってしまいます。
それは無意識のうちに起こる老化現象であり、なんとなく低い段差などでつまずくことが多くなったという感覚として現れることが多いです。
また、大腰筋の筋力低下によって歩幅や歩行速度の減少が起こることも確認されており、歩く動作にとって非常に重要であることがわかります。
筋肉は100歳になっても鍛えられる
視力や聴力の低下など、一般的に老化現象は止められないとされていますが、筋肉だけは何歳になっても若返らせることができる器官です。
そのため、高齢になるほどに筋力トレーニングの若返り効果は高く、健康で長生きするためにも重要といえます。
とくに大腰筋は歩くために必要不可欠ですので、最優先に鍛えるべき筋肉といえます。
大腰筋のトレーニング方法
膝もち上げ運動
大腰筋は股関節を曲げる筋肉ですので、椅子に座った状態で膝を持ち上げることにより、筋肉を働かせることができます。
足首に重錘を取り付けたり、膝を両腕で下に押し返すように抵抗をかけることで、より集中的に大腰筋を鍛えることができるようになります。
下肢伸展挙上運動
背臥位にてドローイン(お腹をへこませる)した状態で、鍛えたい側の下肢を70度前後に挙上して姿勢を保持します。
なぜお腹をへこませるかというと、腰椎前弯を減少させることで大腰筋を伸張させ、より負荷を与えやすい状態にするためです。
高さが低い位置では、大腿四頭筋などの活動が入りやすいため、なるべく高く挙上したほうが選択的に鍛えることができます。
上体起こし運動
いわゆる腹筋運動であり、体幹を股関節のほうに引き付けるようにして筋肉を収縮させていきます。
なるべく上体が起き上がっているほうが大腰筋は活動しやすいため、起こした状態から身体を前後させるようにして収縮を促します。
つかまりスクワット運動
椅子や手すりなどの安定したものにつかまった状態で実施するスクワット運動です。この方法は、基本的に下肢全体を強化するための運動になります。
膝が前に出ないように後下方に腰をゆっくりと下ろしていくことにより、通常のスクワットよりも大腰筋に負荷を与えることができます。
お勧めの書籍
いくつかのトレーニング方法を解説してきましたが、最後にお勧めの書籍の題名を引用させていただきたいと思います。
寝たきり老人になりたくないなら、大腰筋を是非とも鍛えるようにしてください。