小趾外転筋(abductor digiti minimi F)

小趾外転筋の概要

小趾外転筋の起始停止

  • 働き:小趾の外転底屈(MTP屈曲)。外側縦アーチや第5列(第5中足骨)の安定に寄与。

  • 位置:足底外側縁の表層。短小趾屈筋と並走しつつ小趾基節骨外側に停止。

  • 臨床メモ:タイトな靴・前足部外側荷重・内反小趾(テーラーズバニオン)周辺の痛みで過用しやすい。

基本データ

項目 内容
支配神経 外側足底神経
髄節 S1-3
起始 踵骨粗面の外側突起、踵骨下面の突起間および内側突起全部、足底腱膜、短趾屈筋との間の筋間中隔
停止 小趾の基節骨底の外側
動作 小趾の中足指節(MTP)関節における底屈および外転

触診方法

  • 小趾をやや内転+背屈位に誘導 → そこから外転させるよう指示。

  • 反対手で第5中足骨外側~小趾球外縁に触れ、収縮を確認。

  • 短小趾屈筋はMTP屈曲で優位に触れるため、外転を主に使って鑑別

ストレッチ方法

  • 方法:第5基節骨を把持し、小趾を内転+背屈へ。

  • 足関節位:軽い底屈で長趾屈筋の影響を減らすと狙いやすい。

  • 不足時:小趾球外縁の筋腹へやさしく持続圧(ダイレクトストレッチ)。

筋力トレーニング

  • 抵抗外転:第5基節骨遠位をわずかに内転保持外側へ開く動きを抵抗。

  • セルフ:ゴムバンドを小趾に掛け、外側へ開く動きをゆっくり10–12回×2–3セット(痛みゼロ~軽度で)。

圧痛点と関連痛領域

  • 主訴:足底外側〜第5趾基部の局所痛・じんわりしただるさ、ときに外反小趾部の圧痛。

  • 誘因:幅の狭い靴・サンダルでの外側圧迫、立ち仕事での外側荷重、ラン・ダンスでの方向転換の反復。


クリニカル・パール

  • 靴は前足部外側の余裕トーサポートのねじれ許容量を確認。

  • 外側荷重が強い歩容(距骨下関節の過度内反)では過用になりやすい → 後足部のアライメント是正もセットで。

  • 内反小趾例では、小趾外転筋を賦活しつつ、短小趾屈筋の過緊張を抑えると疼痛軽減に寄与。


よくあるQ&A

Q1.短小趾屈筋との違いは?
A.短小趾屈筋はMTP屈曲が主、小趾外転筋は外転+軽い底屈外側アーチ支持にも貢献します。

Q2.どんなときに鍛える?
A.小趾側の不安定感・外側アーチ低下・内反小趾の補助的介入、ラン・球技の蹴り出し安定化に。

Q3.痛みが出たら?
A.運動は中止し、圧痛部の持続軽圧+アイス(急性期)→落ち着いたら軽い外転の等尺性から再開。

Q4.ストレッチの頻度は?
A.30–45秒×2–3回を1日2セット。運動後は少し長めに行うと再緊張を防ぎやすいです。