筋肉は筋束の配置方向によって、平行筋と羽状筋のふたつに分けられます。それぞれの特徴について解説していきます。
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平行筋の羽状筋の違い
筋束の配置の違いは、筋収縮によって発生した力が腱へ伝えられるときの伝導率に影響を及ぼします。
平行筋では、その大部分が筋の長軸方向に対して平行に配置されています。そのため、筋線維の収縮力は直接に腱へと伝達されるため、伝導効率は高くなります。
ただし、平行に走行しているために筋の断面積は乏しくなるため、伝導効率はいいものの収縮力に関しては劣る傾向にあります。
羽状筋では、筋束が5-25度の角度を持って斜めに走行しています。そのため、筋線維の収縮力は直接に腱へと伝達されず、伝導効率は低下します。
この羽状角の大きさが高くなるほどに伝導効率は低下することになります。羽状角に関しては、筋電図を用いることで計測することも可能です。
報告によると、筋肥大の著しいボディビルダーの骨格筋では、羽状角が50度を超える場合もあり、筋出力の発揮におけるロスは高いことがわかっています。
羽状角が30度になると、筋線維の伝導効率は87%まで低下することになります。
反対にいうと、羽状角があるおかげで筋線維の短縮距離は短くてすむので、効率を犠牲にして距離を得しているといえます。
羽状筋は平行筋と比較して筋の断面積が大きくなるため、伝導効率は悪いながらも、結果的に収縮は羽状筋のほうが高くなります。
移動距離と筋収縮力
収縮力を発揮するためには、ある程度の伸張された状態が必要となりますが、平行筋のように移動距離が大きいと、収縮するにつれて適度な張力が保てなくなります。
それに対して、羽状筋では移動距離が少ないため、つねに一定の張力を発揮しやすい状態となり、収縮力を発揮し続けることができます。
言い換えると、平行筋では動く距離が大きいために収縮スピードが優位となり、羽状筋ではスピードが劣るようになります。
身体では、屈筋に平行筋が多く、伸筋に羽状筋が多い傾向にあります。関節のほとんどは伸展したポジションにあるので、効率面から考えてもそちらのほうが良いのです。
紡錘状筋と羽状筋の語源
平行筋は紡錘状筋(fusiform muscle)と呼ばれ、棒に糸が巻き付けられたときにできるような形というのが語源になっています。
羽状筋(pennate muscle)は、鳥の羽のように中心に対して毛が斜めに収束する形に似ていることから名付けられました。
昔は羽毛からペンが作られていたため、「pen」という語句が付けられました。片側だけから収束している形を半羽状筋と呼びます。
種類 | 特徴 | 例 |
平行筋 | 筋束は腱に対して平行 | 上腕二頭筋 |
半羽状筋 | 筋束は腱に対して単一角度 | 外側広筋 |
羽状筋 | 筋束は腱に対して2つの角度 | 大腿直筋 |