幸せになるための9つの法則まとめ

人間が生きる目的は「幸せになるため」という言葉に尽きます。それでは、その幸せの度合いを決める要因とは一体なんでしょうか。

ミネソタ大学の研究では、幸福度を決める要因は先天的な要素が50%、後天的な要素が50%にて決定すると報告しています。

先天的な要素とは遺伝子であり、個人の努力では変えることができない不変的な要素です。後天的な要素とは、生後に身についた考え方や生活環境のことを指します。こちらは個人の努力によって変えていくことができる可変的な要素です。

環境要因と習慣要因

また、後天的な要素は「環境要因」と「習慣要因」に大別できます。環境要因とは、「財産」「夫婦関係」「仕事」などのことであり、全体の10%を占めています。

習慣要因とは、「考え方」「気持ち」「使う言葉」「行動」などのことであり、全体の40%を占めています。大まかに表すと以下の図になります。

習慣を変えることで人間は幸せになれる

生まれた瞬間に幸せは決まっているのか

ここまで見ると、私たちの幸せを決める要素の50%は生まれた瞬間に決まっており、私は不幸な遺伝子を持っているから幸せになれないといった具合にネガティブに捉えた読者もいるかもしれません。

しかし、この遺伝子の幸福度に関しては、明らかな障害がない限りは、大きく幸福度を左右する要素とはならないとも述べられています。むしろ、私たちが注目しなければならないのは後天的な要素です。

習慣を変えることが幸せに生きるためには必要

後天的な要素の中でも、特に注目しなければならないのは環境よりも習慣の方が幸福度に与える影響が大きいという点です。この事実が意味することは一つです。

それは、目に見えることよりも、むしろ目に見えないことのほうが幸せになるためにはずっと重要であるということです。

人間が思い描く幸せの願望は幻想に過ぎない

あなたが幸せになるためには、「お金持ちになること」や「仕事で成功すること」よりも、「人を思いやる気持ちを持つこと」や「物事を前向きに考えられること」のほうがずっと大切なのです。

なので、「金持ちになれさえすれば幸せになれる」とか、「あの人と付き合うことさえできれば幸せになれる」とか、私たちがこうなれば幸せになれると抱いていることのほとんどは幻想に過ぎません。それを手に入れたところで、一次的な変化を体験するだけです。

順応することの意味

人間はすぐに幸せに対して順応してしまいます。失ってから大切さに気付くというのは、順応性が引き起こすデメリットでもあります。では、なぜ人間は幸せに対して慣れてしまうのでしょうか。

それは、人間には一定の幸福度を維持しようとする働きがあるからだとされています。たとえば、宝くじが当たって三億円を手に入れたとします。

はじめのうちは天にも昇るぐらいの幸せを手にしますが、その幸せは半年と持ちません。半年後には、元の幸福度に戻ってしまいます。

不幸にも順応することで生きていける

反対に、ずっと貯めていた財産を株の暴落で一気に失ったとします。はじめのうちは死にたいほどの不幸を味わうはずです。

しかし、それもいつかは笑い話になるのです。大金を手に入れても、財産を失っても、時間が経てば元の幸福度に戻ります。

これは痛みと一緒で、慣れてさえしまえば何も感じなくなっていくのです。しかし、慣れるからこそ人間は不幸な状態でも生きていくことができます。慣れることのない不幸が続けば、人間は生きる気力を失ってしまいますからね。

永遠の幸せを手に入れる方法

あなたが永遠の幸せを望むのなら、幸せに慣れないことが必要です。しかし、それはやはり難しいことです。だからこそ、前向きに考えられる思考や幸せを供給し続けることのできる環境が必要となります。

人間は一定の幸福度を維持すると述べましたが、例外的に幸福度を永続的に下げ続ける要因として、以下の3つが報告されています。

  1. 配偶者を失った場合(安定値に戻るのに時間がかかる)
  2. 慢性的な失業状態にある場合
  3. 極度の貧困状態にある場合

ポジティブに考えれば、上記の三つさえ避けることができれば、不幸が永続的に続くことはありません。もちろん、どの項目も避けたくて避けられるわけでもない部分はありますけど。

前述したように、環境や習慣を変えることによって、幸福度は少しずつではありますが、確実に向上していくことが可能です。私たちが幸せになるために必要なことは大きく分けて二つです。

幸福になるためには不幸を避ける

私たちが幸福を手に入れるためには、一つは私たちがどうすれば幸福になれるのかを知り、それを実現することです。

そして、もう一つは私たちがどうすれば不幸になるかを知り、それを避けることです。幸福と不幸は表裏一体なので、幸福になれる方法さえ知っていれば、必然的に不幸にならない方法もみえてきます。

統計学的にみた幸福度を向上する方法 

ここからは、具体的にどのような要因が幸福度に影響を与えるのかを解説していきます。ちなみにここで記述する項目は、主観的な幸福度と相関関係が強いと判断されている項目を中心に述べています。

主な参考資料は、内閣府の経済社会総合研究所が2012年に発表した「生活の質に関する調査結果」とします。

幸福度に影響を与える環境要因について

1.結婚している

唯一、世界的にどの研究でも幸福度との関係があると認められている要因が「結婚」です。既婚者の中で「とても幸せだ」と感じている人の割合は、未婚者の二倍だったという報告もあるほどです。

もちろん、これは新婚夫婦だけに聞いた調査ではありません。明らかに結婚だけは、人間を幸せにするための要因となり得ています。内閣府の調査でも、既婚者は未婚者よりも15-30以上も幸福だと感じていると報告しています。

しかし、前述したように幸福度を半永続的に下げ続ける要因に、配偶者を失った場合が挙げられます。これについては、若くして配偶者を失った方の心境を考えるなら、人生最大の不幸とも表現することができるはずです。結婚が最大の幸福ならば、配偶者を失うことは最大の不幸なのかもしれません。

幸せな人生を送るということは、実はリスクとの等価交換なのです。幸せになるためには、不幸になるリスクも全て受け止めて生きていかなければなりません。

だからこそ、今が掛け替えのない時間だと認識することができますし、精一杯に生きていくことができるのではないでしょうか。

いつまでも幸せな時間は続きません。あなたがもしも結婚しているのならば、それは偉大な財産なので、パートナーと過ごす時間を大切にしてほしいもんです。

2.お金はある程度はあったほうが幸せ

どんなにお金があっても幸せになれない。一般的に、「お金」に関してはこのように考えられている場合が少なからずあります。

しかし、極度の貧困状態が永続的な不幸を招くように、お金はあったほうが絶対的に幸せです。それでは、いったいどれだけあれば幸せなのでしょうか。

研究によって多少の違いはありますが、おおむね年収1,000万円あたりまでは年収が上がるにつれて幸福度は向上していくという相関関係が認められています。それ以上になれば飽和状態となり、幸福度の向上は認められていません。

また、所得がどれだけ高くても、節約をして生活水準を低く抑えている人の幸福度は高くならない傾向があります。周囲の人たちよりも生活水準を少し高い程度に保っておくほうが、幸福度は増すようです。

資産に関しても、収入と同様に正の相関関係を認めていますが、その額は意外と低く、1,500万円程度で飽和するとされています。この結果をみれば、お金があっても幸せになれないというのは、半分は本当で半分は嘘であると言えます。

”お金があればあるほど幸せということはない。しかし、ある程度はあったほうが幸せである。

このように述べるほうが正しい表現ですね。マズローの欲求段階説でも示されているように、人間には生理的欲求、安全の欲求が最も重要な課題となります。

貧困状態のように、その欲求が満たされないうちは幸せになることなんて不可能です。ちょっと他の人よりも高いぐらいの生活水準(無駄遣いできるぐらい)が、一番幸せな状態ですね。

3.労働は負の効用を招く

慢性的な失業状態は幸福度を永続的に下げる要因になると前述しましたが、反対に仕事をすることで幸福度が低くなることもわかっています。なぜこのようなパラドックスが起こっているのかを考えてみたいと思います。

これに関しては、仕事上でのストレスが強く影響していると考えられます。現代の仕事は多様化が進んでおり、人間関係も非常に複雑化してきています。そのため、とてもストレスがかかりやすく、うつ病を訴える社会人も増加傾向にあります。

幸福度に関しては、たとえ失業していても、本人が仕事を求めていない場合は幸福度に影響は与えないとされています。仕事をしたいのにできない人(求職者)の幸福度は下がりますが、ニートの幸福度は下がりません。

他にも、学生や専業主婦と比較すれば、仕事をしている人たちのほうが総じて幸福度は低い傾向にあります。要するに、学生や専業主婦はストレスがかかりにくい環境でありながら、なおかつ勉強や家事が彼らの仕事のようなものだからでしょう。

このように考えれば、仕事をすることがイコールで幸福度を下げているということではないようです。言い換えれば、ストレスが少ない職場で働くことが、私たちが幸せに生活していくためには必要だと言えます。

職業別に幸福度をみていくと、管理職や専門職では他の職業よりも高い幸福度を示します。幸福度が低い職業は、販売職、サービス職、現業職、農林漁業、パートをしている主婦(主夫)です。事務職に関しては、その中間に位置するという結果が出ています。

この結果をみる限りでも、営業や販売などストレスがかかる職業の方が、幸福度は低いという結果が出ています。あくまで職業別にみた幸福度は参考程度にし、自分が最もストレスのかかりにくい職業や職場を選ぶことが、幸せに生きるためには大切であるということでしょう。

4.学歴が高いほど幸福度は高い

これに関しては、一見すると学歴が高いほど高収入だからなのではないかと考えてしまいがちですが、実はそうではありません。

所得の条件を並べてみても、結果的には学歴が高い人の方が幸福度は高くなります。これは、世界で一番幸せなデンマークのところでも述べましたが、個人の倫理観が強く影響しているのではないかと私は考えています。

学歴がある人のほうが倫理観は高いと一概に言いきることはできませんが、相対的にみていけば、倫理観を学べる時間も多く、結果として高くなっている可能性はあるはずです。

なので、自分は中卒だから幸せになれないと悲観的になるのではなく、もっと多くのことを学ぶ努力をすることが幸せになるためには必要と言い換えることもできます。20世紀最大の物理学者であるアインシュタインは次のように述べました。

”学べば学ぶほど、 自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。 自分の無知に気づけば気づくほど、 より一層学びたくなる。

知らないことを知ることができれば、人間はもっといろいろなことが知りたくなります。それの繰り返しが、生活をより良くするための方法だと思います。学歴が高い人ほど、その傾向が強くあらわれているのかもしれませんね。

5.喫煙やギャンブルは不幸を招く

喫煙者(10本/日以上)は、非喫煙者よりも幸福度が低いことが報告されています。また、ギャンブルが好きな人ほど幸福度が低く、その頻度が多くなるにつれて不幸の度合いも高くなっていくことが示されています。

大阪大学社会経済研究所の筒井教授は、非喫煙者の幸福度が平均6.55だったのに対し、喫煙者の平均は6.06だったと報告しています。

飲酒に関しては、幸福度との関係性は認められておらず、低頻度の飲酒に関してはむしろ幸福度は若干増すという報告があります。

男性より女性の幸福度が高いというデータがいくつかの研究で発表されていますが、喫煙という条件を外せば、男女間の幸福度に差がないという報告もあるほどです。

要するに、女性より男性の方が不幸なのは、男性の方が喫煙率が高いからだけということです。これについては、断定するにはまだ早いですが、そういった傾向があることだけでも覚えておいた方がいいでしょう。

喫煙者やギャンブルが好きな人の幸福度が低い原因として、私は「強い依存性」があるせいではないかと考えています。依存とは、欲求の裏返しです。強すぎる欲求は、幸福を遠ざけてしまいます。

何かに依存している人間は、それを満たせなければ欲求不満に陥ってしまいます。これは、タバコやギャンブル以外にも言えることです。

恋人に依存したり、ネットに依存したり、何かに依存している人間はストレスを抱えやすい傾向にあります。幸福に生きるためには、強い依存性があることは避けておいた方がいいかもしれません。

6.健康は第一の富である

アメリカの思想家であるウォルドー・エマソーンの次のように言いました。

”健康は第一の富である。

私たちは健康であることを当たり前だと思いながら生きています。それがどれだけ私たちを幸福にしているのかも知らずにです。幸福度と健康状態には強い相関関係があります。

健康は間違いなく私たちを幸せにしているのです。内閣府の調査でも、「健康である」と答えた方は、「健康でない」と答えた方より、実に40%以上も幸福度が高いという結果が出ています。これは、全ての調査項目の中でも最大の差です。

これまでに、幸福になるための要因をいくつか述べてきたましが、仕事をするにしても、学歴を高めるにしても、結婚するにしても、お金を手に入れるにしても、全ては健康があっての話です。

健康であるからこそ、人間は前向きに生きていくことができます。全ての幸福は健康を前提にして考えなければなりません。まさしく、健康は第一の富ですよ。

環境よりも習慣の方が大切です。

ここまでに、幸福度を向上するための環境要因を中心に述べてきました。しかし、あくまで環境要因は幸福度を決定する際の10%に過ぎません。

環境よりも重要である習慣要因について、ここからは記述していきたいと思います。かなり長文ですけど、頑張って付いてきてください。

7.ポジティブ思考

習慣的な考え方や行動によって幸福度が左右されることはこれまでに述べてきましたが、それは個人の性格という言葉に言い換えることができます。

とくに影響を与えているのは、物事を前向きに考えられるかどうかです。いわゆるポジティブ思考の人は、悲観的に考えやすい人、つまりはネガティブ思考の人と比較して有意に幸福度は高くなります。

また、周囲との人たちと協調的に接することができ、積極的に行動できる人の幸福度が高いというデータも示されています。要するに、内向的な人よりも外向的な人の方が人生を幸せに生きられるのです。

もちろん、これが全ての人間に当てはまる事だとは思いません。他人と接することが苦手な人に対して、もっと社交的に生きろというのは苦痛でしかありませんよね。

ただし、人間は幸せを感じている瞬間は誰しもが社交的になり、自分と自分以外の人たちへの愛情が深まるという特徴を持っています。これは内向的な人でも同様にです。

逆説的に言えば、幸福度が低ければ内向的になりやすく、幸福度が高ければ外向的になりやすいともいえます。考え方にしても、幸せな状態の時は全てがうまくいくような気がして、物事をポジティブに考えることができますからね。

また、幸福度が高まれば他人思いになり、問題解決能力が向上し、免疫力が高まるというデータも存在します。これらのことより、幸福度が高い人間は好循環ならぬ「幸循環」に入っていき、ますます幸せになっていくものです。あなたが幸せを望むのならば、人生を幸循環に転換していくことが大切です。

8.他人を信頼できる

宗教的な話になりますが、信仰している事がある人たちの方が、信仰している事がない人より幸福度はやや高いという結果が示されています。ちなみに私は特定の宗教を信教しておらず、信仰を広めるつもりはないのでご安心ください。

これに関しては、信じることができるかどうかが、幸福度に影響を与えているのではないかと考えています。人を信じることができず、疑ってばかりの人は幸せになることができません。

信仰心がある人たちというのは、人を疑うことをせず、信じる心を持ちなさないと小さい頃から教わっているのだと思います。

このように考えれば、たとえ無宗教であっても、人のことを信じられる人間は幸せになることができるのではないかと思います。

信じる者は救われるといった言葉がありますが、幸福度の観点から考察するなら、あながち嘘でもなさそうです。そう考えたら、無信仰の自分にはちょっと無理かなって気になりますね。

9.深い関係を築く

友人関係が広くても、その関係が浅ければ幸福度を増すことにつながりません。友人関係が狭くても、その関係が深く、密に関われているのであれば幸福度は増していくものです。

数多くの研究で、幸福度に影響を与える最も大きな要因は人間関係であると結論づけられています。

中でも、結婚相手との関係が最も重要であり、結婚相手と密に関われている人たちの幸福度は圧倒的に高い値を示しています。

しかし、ただ結婚しているだけで幸せかどうかといえば疑問が残ります。新婚カップルなら幸せでしょうが、結婚して長い年月が経っている夫婦はむしろ逆の場合もあり得ます。

結婚は人生の墓場だと考えている夫婦は、例外なく夫婦間でのコミュニケーションが不足しており、そこに喜びを見出すことができなくなっています。

末永く幸せな人生を送るためには、夫婦でのコミュニケーションが何よりも大切です。そのためにも、共通の趣味や話題を持つことが必要です。

ふたりで楽しめるような趣味を持っている夫婦ほど、良好な関係は持続するといわれています。会話は相手への気遣いです。

気遣いは愛です。愛が無くならないように、しっかりと積み重ねてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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