強直性脊椎炎のリハビリ治療

強直性脊椎炎の概要

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  • 脊椎や仙腸関節に慢性の炎症が起こり、少しずつ骨どうしが癒合(強直)して可動性が落ちていく疾患。脊椎だけでなく股関節・膝, 腱付着部(アキレス腱など), 眼(ぶどう膜炎), にも炎症が及ぶことがあります。

  • 男性に多い(女性の約3倍)/40歳未満で徐々に発症運動で軽くなり安静で悪化というパターンが典型。

  • **遺伝的素因(HLA-B27 など)**が関与。家族内発生が約10%。

  • 日本の有病率は稀ですが、「炎症性腰背部痛」(朝のこわばり・夜間痛・運動で軽快)があれば積極的に疑います。

主な症状の特徴

  • 腰背部痛・仙腸関節痛・殿部痛(左右交代性になりやすい)

  • 朝のこわばり(30分以上)や夜間痛、長く座ると悪化/体を動かすと軽快

  • 進行すると胸郭拡張の低下(深呼吸が浅い)姿勢の前屈み(後弯)

  • 眼痛・光過敏・視力低下(ぶどう膜炎)やアキレス腱・足底腱膜の痛みが出ることも

ポイント
運動で楽になる腰痛は他疾患と大きく違う赤信号。若年者の腰痛ではまずASを念頭に。

診断の流れ(ざっくり)

  • 問診:3か月以上の持続, 若年発症, 運動で軽快/安静で悪化, 朝のこわばり

  • 画像:MRI(STIR)で仙腸関節の骨髄浮腫→早期から有用/X線では後期に骨増生・強直

  • 血液:CRP/赤沈上昇、HLA-B27は補助所見(陰性でも否定はできない)

 強直性脊椎炎|後面
 強直性脊椎炎|脊椎側面

標準的な治療(概要)

  • 薬物療法

    1. NSAIDs(第一選択)

    2. 生物学的製剤(TNF-α阻害薬、IL-17阻害薬)— 不十分例・活動性高い例に有効

    3. 必要に応じて局所ステロイド注射(腱付着部・関節)

  • リハビリ・生活姿勢・柔軟性・胸郭拡張の維持、有酸素運動と体幹・殿筋群トレーニング、禁煙(骨量低下と病勢悪化を避ける)

  • 手術股関節の人工関節置換(ADL障害が強い場合)。脊椎矯正は選択例が限られる。

注意
骨粗鬆症と脊椎骨折リスクが高いため、高衝撃の脊椎マニピュレーションは避ける。転倒予防も重要。

リハビリの実践ポイント

  • 炎症の強い部位はまず鎮静(過負荷回避・痛みが増えない範囲で可動)

  • 伸展位を日常に:うつ伏せ(prone)での脊椎伸展位保持を定期的に取り入れる

  • 胸郭拡張訓練:深呼吸で胸囲変化(第4肋間レベル)をモニターしながら拡張練習

  • 股関節の可動性確保:脊椎が固い場合でも股関節・骨盤の可動性で代償できる

  • 寝具・枕仰臥位を基本, 枕は低めで頸胸椎の自然弯曲を保つ

  • 姿勢教育:座位は骨盤を軽く前傾、長座位・長時間前屈姿勢を避ける

  • 禁忌に配慮:活動期は無理なエンドレンジ反復やハイインパクトは避ける


よくある質問(Q&A)

Q1. 運動はして大丈夫?
必要です。炎症が落ち着いている範囲で毎日動かすことが、痛みとこわばりの軽減・強直予防に役立ちます。翌日に痛みが残る強度は避けましょう。

Q2. どんな運動が向いている?
ウォーキング/バイク/水中運動などの有酸素+脊椎伸展・胸郭拡張・股関節モビリティ殿筋・背筋の低〜中強度トレを組み合わせます。

Q3. 眼が痛い・眩しい・視力が落ちたら?
**すぐ眼科受診。**急性前部ぶどう膜炎の可能性があり、放置は視機能障害につながります。

Q4. いつ専門医に紹介?
若年発症で運動で軽快・安静で悪化朝のこわばり左右交代性の殿部痛があればリウマチ膠原病科/整形の脊椎専門へ。MRI評価が有用です。


最終更新:2025-10-05