扁平足障害のリハビリ治療

扁平足障害のリハビリ治療について解説していきます。

扁平足の概要

扁平足障害

扁平足とは、足部の内側縦アーチ(土踏まず)が低下あるいは消失した状態を指し、それに伴う諸症状を扁平足障害といいます。

扁平足は年代別に小児期、思春期、成人期の3期に分類されます。

小児期より未熟な幼児期においては、土踏まずの周囲に脂肪が付着しているため、内側縦アーチはまだ確認することができません。

それが成長に従って徐々に脂肪が消失していき、小児期(8歳頃)にはアーチとして確認することができます。

小児期の扁平足は無症状なので基本的に治療対象ではなく、重要なのは小児期以降に起こる扁平足障害になります。

扁平足障害はなぜ起こるのか

扁平足の発生機序として、以下の流れを辿ります。

  1. 距骨が前方と内方に滑り、踵骨は後方に回転して外反する
  2. 距舟靱帯に引っ張られて舟状骨が下がる
  3. 舟状骨に停止を持つ後脛骨筋は延長位になり弱化する
  4. 後脛骨筋の延長で内側縦アーチが下がる
  5. 内側縦アーチの低下で足底腱膜が伸ばされる
  6. 内側縦アーチの低下で長趾屈筋や長母趾屈筋も延長位になり弱化する
  7. 内側楔状骨の低下で前脛骨筋も延長位になり弱化する
  8. 踵骨の外反で三角靭帯と距踵靱帯に緊張が生じる
  9. 距骨が前内方に滑り、前足部が外転して、横アーチも低下する
  10. 踵骨の外反で母趾に荷重が集中して外反母趾を起こす
  11. 外反母趾が原因で母趾内転筋は短縮して、母趾外転筋は延長する

扁平足の問題点

無症状の扁平足は数多く存在していますので、扁平足だから何が問題なのかを理解しておくことが治療においては重要です。

臨床において問題となりやすいのは、距骨下関節の過回内(オーバープロネーション)です。

距骨下関節が回内位になると足関節はゆるみの位置になるため、足関節を安定させて地面を蹴り出すことができません。

そのため、患者は「ペタペタと歩くような感覚」に陥っており、歩行効率も非常に悪い状態といえます。

内側縦アーチが低下することで第1中足骨の荷重が増加し、外反母趾を発生させるなどの二次障害にも留意する必要があります。

また、後脛骨筋炎や有痛性外脛骨、シンスプリント、足底筋膜炎を惹起することになりやすいです。

COPの修正

立位で骨盤が前方変位している不良姿勢では、COP(足底中心)が前方位や内方位になりやすいです。

重心が前方にあるので荷重は前足部に集中しており、距骨は三角靭帯にもたれかかるようにして支えられています。

女性は先天的に関節が柔らかい(靱帯が緩い)ことが多く、そういうケースでは強靭な三角靭帯が伸ばされて回内足となりやすいです。

そのため、立位姿勢を整えていくことが扁平足の根本的な治療となるため、立位ではお腹が突き出すような弛緩姿勢をとらないように注意します。

また、過重は踵や小趾側に乗せるように意識してもらうことや、足関節を内反させる踵上げ運動にて後脛骨筋の強化を行っていきます。

後足部回外誘導テーピング

後足部回外誘導テーピング1

距骨下関節のオーバープロネーションを調整するためのテーピングであり、載距突起を持ち上げて後足部を回外方向に誘導します。

距骨下関節が回外することでショパール関節はしまりの位置となり、足部の剛性を高めて足底腱膜などの負担を軽減することが可能です。

テーピングで十分に効果が発揮するようなら、オーバープロネーションを防止するサポーターの購入を検討してもよいです。

インソールの着用

扁平足の治療において、最も選択される方法のひとつが足底挿板療法(インソール)です。

アーチサポートを挿入することにより、矯正的に荷重を分散してくれますので、使用した瞬間から症状が劇的に改善するケースも多くあります。

ヒトによって足の形は違いますので、装具士がオーダーメイドで作成することになります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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