手指関節の構造と関節可動域について解説していきます。
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手指関節の概要
手指はいくつもの関節が連なって指先の微妙な動きを可能としています。手指をまとめて動かす筋肉と単独で動かす筋肉が存在します。
手指関節の種類と特徴
手指は各関節でその機能が異なっているため、その役割を理解するためにも関節毎の種類を覚えておくことが大切です。
種類 | 部位 | 備考 |
螺旋関節 | 手関節 | 蝶番関節の変形で螺旋階段を昇るような回転に伴い垂直な平面からずれていく |
鞍関節 | 母指CM関節 | 関節面は鞍状で互いに直角方向に回転する |
平面関節 | 第2-5指CM関節 | 関節面が平面をなすもの |
顆状関節 | 第1-5指MP関節 | 関節頭は楕円形で関節窩が浅くしかも運動は靭帯により一方向か二方向に制限される |
蝶番関節 | 母指IP関節、第2-5指PIP/DIP関節 | 関節は蝶番のように関節頭は軸のまわりだけ回る |
母指の関節可動域と測定方法
運動方向 | 参考角度 | 基本軸 | 移動軸 | 参考図 |
橈側外転 | 60 | 示指 | 母指 | |
尺側内転 | 0 | |||
掌側外転 | 90 | |||
掌側内転 | 0 | |||
屈曲(MCP) | 60 | 第1中手骨 | 第1基節骨 | |
伸展(MCP) | 10 | |||
屈曲(IP) | 80 | 第1基節骨 | 第1末節骨 | |
伸展(IP) | 10 |
手指の関節可動域と測定方法
運動方向 | 参考角度 | 基本軸 | 移動軸 | 参考図 |
屈曲(MCP) | 90 | 第2~5中手骨 | 第2~5基節骨 | |
伸展(MCP) | 45 | |||
屈曲(PIP) | 100 | 第2~5基節骨 | 第2~5中節骨 | |
伸展(PIP) | 0 | |||
屈曲(DIP) | 80 | 第2~5中節骨 | 第2~5末節骨 | |
伸展(DIP) | 0 | |||
外転 | - | 第3中手骨延長線 | 第2、4、5指軸 | |
内転 | - |
指(母指以外)に作用する筋肉(貢献度順)
方向 | 筋肉 |
屈曲 | 浅指屈筋、深指屈筋、虫様筋 |
伸展 | 総指伸筋、示指伸筋、小指伸筋 |
外転 | 小指外転筋、背側骨間筋 |
内転 | 掌側骨間筋 |
母指に作用する筋肉(貢献度順)
方向 | 筋肉 |
屈曲 | 長母指屈筋、短母指屈筋、母指対立筋 |
伸展 | 長母指伸筋、短母指伸筋 |
外転 | 長母指外転筋、短母指外転筋、短母指屈筋 |
内転 | 母指内転筋、短母指屈筋、母指対立筋 |
手指関節周囲の靱帯
手指の関節はすべて関節包で覆われており、そこに側副靭帯や深横中手靱帯が付着して補強されています。
1.深横中手靱帯 |
【機能】中手骨の遠位部を連結して補強 |
2.指の側副靭帯 |
【機能】指関節の補強 |
3.指節関節靱帯 |
【機能】指関節の補強 |
4.輪状部 |
【機能】十字部とともに深・浅指屈筋腱が通過する通路を指節骨との間に形成 |
5.十字部 |
【機能】輪状部とともに深・浅指屈筋腱が通過する通路を指節骨との間に形成 |
6.指背腱膜 |
【機能】指伸筋腱からの延長、手指関節伸展 |
7.骨間筋腱中央索 |
8.手指の副側副靱帯 |
【機能】指関節の補強 |
9.斜支靱帯 |
【機能】指背腱膜から分岐する3つの線維束のうちのひとつ |