抗重力筋と主要姿勢筋

立位や座位など、重力に抗する姿勢を抗重力姿勢といい、それを維持するために働く筋肉を抗重力筋といいます。

立位では体幹(内臓や脂肪)の重さが前方にかかるため、それを後方の筋肉が支えることで体幹を真っ直ぐに保つことができています。

その後方から支えている主な筋肉を主要姿勢筋といいます。(下図の青色で記載している筋肉)

正常では足関節よりもやや前方を重心線が通っており、主要姿勢筋が適度に働くことで重心を調整しています。

しかし、軍隊式姿勢のような主要姿勢筋が過度に働きすぎている緊張姿勢(ロードシス)では、重心線は正常よりも後方にあります。

筋肉が働きすぎているために筋筋膜性疼痛を生じやすい傾向にあり、足部はハイアーチとなりやすいです。

一般的に中高年になってくると徐々に抗重力筋は弱化するため、これまで後方から体幹を支えていた筋肉の緊張が乏しくなります。

そうすると体幹は前に突き出た状態となり、筋肉をあまり使わない弛緩姿勢(スウェイバック)をとるようになります。

筋肉を使わないようにする代わりに、靱帯や関節包、接近した関節などによって安定性をもたらしています。

例えば、脊柱起立筋群を使わずに椎間関節を接近(伸展)して身体を支えようとすると、最終的には椎間関節障害を起こすことにつながります。

そのため、筋肉の問題よりも靱帯や関節の痛みが起こりやすくなり、足部はフラットアーチとなりやすいです。

リハビリのときに立位姿勢をチェックするかと思いますが、主要姿勢筋が疲労していない状態では不良姿勢とならないことも多いです。

そのことを考慮して、痛みが出現する時間はいつなのか、どのような姿勢で痛みが出現しやすいのかは聴取しておく必要があります。

立ち仕事で夕方からきつくなるのであるなら、抗重力筋が疲労して不良姿勢となっていることが予測されたりできるわけです。

だからこそ、足部の状態を診ることで普段はどこに荷重が乗っているかを推測し、身体の負担を考えていくことが効果的です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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