肩関節の筋・筋膜性疼痛を治療していくうえで、どの指に痛みやしびれがあるかは重要な所見となります。
しかしながら、肩から指にかけて症状があると、医者からは「頸が原因」という診断が付けられることがほとんどです。
その固定観念を外すためにも、筋・筋膜性疼痛と末端障害について理解しておくことが必要です。
なぜ肩関節の筋・筋膜の問題が指にまで出現するかですが、筋膜制限は最終的には分節末端で代償することが理由です。
イメージとしては、ゴムを引っ張ると付着部の先端に負担が加わるように、そこに問題が生じやすいことが挙げられます。
分節末端とは、手や足、頭部のことを指し、それらに感覚異常がある場合は筋・筋膜性疼痛を疑うようにしてください。
以下の表は、どの方向(ライン)の運動配列がどの指に影響するかを示したものです。
臨床的に多いパターンとして、第1〜3指に感覚異常がある場合は、前方(屈曲)・外方(外転)・内旋ラインに問題があります。
具体的には、三角筋前方、上腕二頭筋、小胸筋、斜角筋、肩甲下筋、広背筋、大胸筋などをチェックしていきます。
硬さがある部分にリリースを加えると、指先の感覚異常を再現できる場合もあり、その場合は筋・筋膜の問題である可能性が強いといえます。
第4〜5指に感覚異常がある場合は、後方(伸展)・内方(内転)・外旋ラインに問題があります。
具体的には、三角筋後方、上腕三頭筋、棘下筋、僧帽筋上部などをチェックしていきます。
以上のように、指先の感覚異常は頚部のみでななく、肩周囲の筋・筋膜が関与していることが多いのでぜひチェックしてみてください。