母指内転筋(adductor pollicis)

この記事では、母指内転筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。

母指内転筋の概要

母指内転筋の起始停止

母指内転筋は手掌の最も深層に位置する筋肉で、起始が2頭に分かれており、母指の内転に働く主力筋です。

手掌では比較的に大きい筋肉で、母指球の膨らみを形成します。

母指内転筋の筋力を測定するためには母指と示指の間に紙を挟み、母指を内転させて固定してもらい、検査者は紙を引っ張りだすように力を加えます。

筋力低下がある場合は紙がすぐ引き抜けたり、母指をIP関節を屈曲させて押さえ込む代償動作(フロマン徴候)が認められます。

基本データ

項目

内容

支配神経 尺骨神経の深枝
髄節 C8-T1
起始 ①横頭:第3中手骨の掌側面

②斜頭:屈筋支帯、有頭骨を中心とした手根骨、第23中手骨底の掌側

停止 母子の基節骨底
栄養血管 浅掌動脈弓
動作 母指の内転

運動貢献度(順位)

貢献度

母指内転

1 母指内転筋
2 短母指屈筋
3 母指対立筋

母指内転筋の触診方法

母指内転筋

写真では母指掌側外転位からの母指内転運動にて、母指内転筋横頭を触診しています。

ストレッチ方法

母指内転筋のストレッチング

反対側の手で母指を握り、母指を外転方向に伸ばしていきます。

筋力トレーニング

母指内転筋の筋力トレーニング

柔らかいゴムボールなどを把持して、母指の内転運動で押し潰すようにして握りしめていきます。

トリガーポイントと関連痛領域

母指内転筋のトリガーポイントは停止部付近に出現し、その関連痛領域は第1中手骨から舟状骨の背側に生じます。

筋肉は掌側に存在していますが、関連痛は背側に発生するために注意が必要です。

母指の開きが悪い人で、母指や手関節の背側に痛みを訴える場合は、母指内転筋のリリースで症状が改善するケースが多いです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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