この記事では、母指対立筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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母指対立筋の概要
母指対立筋は手掌の深層に位置する筋肉で、同じ場所を走行する短母指屈筋よりもさらに深層にあります。
日常生活でも非常に重要な役割を担っており、物をつかむ(つまむ)動作に大きく貢献しています。
正中神経麻痺で対立運動が障害されている場合は、再建術によって母指対立機能の再獲得を図ることもあります。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 正中神経 |
髄節 | C6-C7 |
起始 | 大菱形骨結節、屈筋支帯 |
停止 | 第1中手骨の撓側縁 |
栄養血管 | 浅掌動脈弓 |
動作 | 母指CM関節の対立運動、母指CM関節の屈曲 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
母指内転 |
母指屈曲 |
1位 | 母指内転筋 | 長母指屈筋 |
2位 | 短母指屈筋 | 短母指屈筋 |
3位 | 母指対立筋 | 母指対立筋 |
母指対立筋の触診方法
写真では、母指対立運動にて母指対立筋を停止部(第1中手骨の橈側縁)で触診しています。
母指と小指の長軸が一直線状に位置していることが、正しい対立運動の条件となります。
この動きが乱れている場合は、母指対立筋の筋力低下や母指CM関節の拘縮が存在すると考えられます。
ストレッチ方法
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反対側の手で母指を握り、母指CM関節を伸展方向に伸ばしていきます。
筋力トレーニング
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柔らかいゴムボールなどを把持して、母指CM関節の対立運動で押し潰すようにして握りしめていきます。
手内在筋(母指球筋)の概要
手内在筋は、手根骨もしくは手指骨に起始と停止を共に持つ筋肉のことを呼びます。
母指球筋は、①母指対立筋、②短母指外転筋、③短母指屈筋、④母指内転筋の四つで構成されます。
手内在筋の一覧
手内在筋 |
筋肉 |
支配神経 |
母指球筋 | 母指対立筋 | 正中神経 |
短母指外転筋 | 正中神経 | |
短母指屈筋 | 正中神経,尺骨神経 | |
母指内転筋 | 尺骨神経 | |
小指球筋 | 小指対立筋 | 尺骨神経 |
小指外転筋 | 尺骨神経 | |
短小指屈筋 | 尺骨神経 | |
短掌筋 | 尺骨神経 | |
中手筋 | 虫様筋 | 正中神経,尺骨神経 |
背側骨間筋 | 尺骨神経 | |
掌側骨間筋 | 尺骨神経 |
母指球筋のトリガーポイント
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母指球筋のトリガーポイントはすべて筋腹中央から停止側に出現し、その関連痛領域は筋の走行上に出現する場合が多いです。
母指対立筋と短母指外転筋は掌側に、短母指屈筋と母指内転筋は背側に痛みが出現しやすいです。
アナトミートレイン:筋膜連結
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母指対立筋はDFAL(ディープ・フロントアーム・ライン)の筋膜経線上に位置する筋肉になります。