眼の動きに関与する筋肉

眼の筋について

眼球の動きに関与する筋肉は、①上直筋、②下直筋、③内側直筋、④外側直筋、⑤上斜筋、⑥下斜筋の六つが存在します。

眼の筋①

①上直筋の概要

上直筋(superior rectus)は、眼球を上転させる筋肉です。上方を見るためには、上直筋と下斜筋の共同収縮が必要となります。

眼の筋|上直筋,下斜筋
支配神経 動眼神経(III)
起始 総腱輪
停止 眼球前半部
動作 上転(内転,内旋)
栄養血管 眼動脈

②下直筋の概要

下直筋(inferior rectus)は、眼球を下転させる筋肉です。下方を見るためには、下直筋と上斜筋の共同収縮が必要となります。

眼の筋|下側直筋,上斜筋
支配神経 動眼神経(III)
起始 総腱輪
停止 眼球前半部
動作 下転(内転,外旋)
栄養血管 眼動脈

③内側直筋の概要

内側直筋(medial rectus)は、眼球を内転させる筋肉です。

眼の筋|内側直筋
支配神経 動眼神経(III)
起始 総腱輪
停止 眼球前半部
動作 眼球の内転
栄養血管 眼動脈

④外側直筋の概要

外側直筋(lateral rectus)は、眼球を内転させる筋肉です。他の直筋は動眼神経が支配しているの対して、外側直筋のみは外転神経が支配しています。

眼の筋|外側直筋
支配神経 外転神経(VI)
起始 総腱輪
停止 眼球前半部
動作 眼球の外転
栄養血管 眼動脈

⑤上斜筋の概要

上斜筋(superior oblique)は、眼球を下転および外転外旋させる筋肉です。滑車神経(IV)が支配しています。内下方を見るためには、上斜筋と内側直筋の共同収縮が必要となります。

眼の筋|上斜筋,内側直筋
支配神経 滑車神経(IV)
起始 蝶形骨の視神経管の上内側部
停止 眼球後半部の上面の強膜
動作 下転、外転外旋
栄養血管 眼動脈

⑥下斜筋の概要

下斜筋(inferior oblique)は、眼球を下転および外転外旋させる筋肉です。内上方を見るためには、下斜筋と内側直筋の共同収縮が必要となります。

眼の筋|下斜筋,内側直筋
支配神経 動眼神経(III)
起始 眼窩の前下内側偶
停止 眼球後半部の下面の強膜
動作 上転、外転外旋
栄養血管 眼動脈

「純粋な上転/下転」は“相殺の合力”

  • 上転:上直筋(上転+内転+内旋)と下斜筋(上転+外転+外旋)を同時に使うと、上転だけが残る

  • 下転:下直筋(下転+内転+外旋)と上斜筋(下転+外転+内旋)で、下転だけが残る

上方(上直筋+下斜筋) 下方( 上斜筋+下直筋)
眼の筋|上直筋,下斜筋 眼の筋|下側直筋,上斜筋
外方(外側直筋) 内方(内側直筋)
眼の筋|外側直筋 眼の筋|内側直筋
 外上方(外側直筋+上直筋) 内上方(内側直筋+下斜筋)
眼の筋|外側直筋,上直筋 眼の筋|下斜筋,内側直筋
外下方(外側直筋+下直筋) 内下方(上斜筋+内側直筋)
眼の筋|外側直筋,下直筋 眼の筋|上斜筋,内側直筋

眼球運動の簡易検査(Hテストのコツ)

  1. 指先でH字をゆっくり描かせて追視。

  2. 外上方(SR)・外下方(IR)・内上方(IO)・内下方(SO)で複視や制限を観察。

  3. 固視で眼振が増減するか、複視の向きなどもメモ。


迅速鑑別メモ(神経麻痺)

  • VI(外転神経)麻痺:外転不能 → 内斜視・外方視で複視↑

  • IV(滑車神経)麻痺下方視での縦複視頭部を健側へ傾けると悪化(Bielschowsky)

  • III(動眼神経)麻痺外下方偏位(down & out)眼瞼下垂散瞳(瞳孔線維障害で)

    • 瞳孔障害を伴うIII麻痺は後交通動脈瘤など緊急の可能性に留意


よくある質問(Q&A)

Q1. 「LR6 SO4」って何?
A. LR=VI、SO=IV、他はIIIという支配神経の暗記法です。

Q2. まっすぐ上を見るのに斜筋が必要なのはなぜ?
A. 上直筋だけだと内転・内旋が混ざるため、下斜筋を合わせて相殺し、純粋な上転にします(下方も同理)。

Q3. 眼精疲労に効くセルフケアは?
A. 遠近のピント切替水平・垂直のゆっくり追視頻回瞬目。痛み・複視が出るなら中止して受診。

Q4. 複視が急に出たら?
A. 脳血管・動脈瘤・眼筋麻痺など鑑別が必要。急性発症の複視は医療機関へ