短小趾屈筋(flexor digiti minimi brecis F)

短小趾屈筋の概要

短小趾屈筋の起始停止

短小趾屈筋(FDMB)は第5中足骨の底側・遠位部に位置する足底外側の表層筋で、小趾(第5趾)の中足趾節(MTP)関節屈曲に主に働きます。第5中足骨遠位外側から分かれる線維が明瞭なときは**小趾対立筋(opponens digiti minimi)**として独立筋扱いされることがあります。

基本データ

項目 内容
支配神経 外側足底神経
髄節 S1-2
起始 5中足骨底、長足底靭帯、長腓骨筋の腱鞘
停止 5基節骨の外側底
動作 小趾の中足趾節(MTP)関節に対して底屈

触診方法

  • 被検者を仰臥位または座位。小趾を軽く背屈位に保持。

  • 検者は第5中足骨底側の外側縁に指腹を当て、被検者にMTPだけを屈曲するよう指示。

  • 指先で軽い抵抗を加えると、触れている部位で短小趾屈筋の収縮が触知できます。
    屈曲はMTPに限定(IPはなるべく屈曲させない)すると選択性が上がります。

ストレッチ方法

  • 第5基節骨を把持して背屈方向へ誘導(MTP伸展)。

  • 足関節は底屈位に保ち、長趾屈筋の張力を避ける。

  • さらに小趾PIPは屈曲位をキープし、短趾屈筋(flexor digitorum brevis)への伸張を抑えると、短小趾屈筋への選択的ストレッチになります。

筋力トレーニング

  • 第5基節骨をやや伸展位にプレセットし、そこからMTP屈曲を指示。

  • 検者(またはセラバンド)の点抵抗を第5基節骨背側にかける。

  • IP関節は動かさないよう口頭指示・把持でコントロール。

トリガーポイント(TP)

  • 主訴:第5趾基部〜足底外側の局所痛・圧痛、ときに小趾の屈曲しづらさ。

  • 誘因:狭い靴や外反小趾傾向での圧迫、サッカー・バレエなどの前足部荷重スポーツ、立ち仕事での足底外側への過負荷。

臨床メモ(使いどころ)

  • 小趾外反(バニオネット)や第5列の不安定性で、MTPのコントロール再学習に有用。

  • 足底外側痛では、短趾屈筋・短小趾屈筋・小趾外転筋の過緊張や外側足底神経(浅枝)刺激の鑑別を。

  • 長腓骨筋との連関(起始部が腱鞘と連続)を念頭に、外側縦アーチ機能評価とセットでみると良い。


よくある質問(Q&A)

Q1. 短小趾屈筋と短趾屈筋は何が違う?
A. 短小趾屈筋は第5趾MTPを屈曲。短屈筋は第2–5趾のPIP屈曲が主。ストレッチやMMTでは関節の固定位置で選択性を出します。

Q2. 小趾対立筋は誰にでもある?
A. 変異があり、分化が明瞭な人とそうでない人がいます。臨床では“対立様”の内側偏位を補助する線維として把握すれば十分です。

Q3. トレーニングのコツは?
A. MTPだけを動かす意識づけが最重要。IPが曲がってしまうなら、IPを軽く把持して固定し、ゆっくり短距離で反復します。

Q4. 外側足底のしびれがある場合に鍛えてよい?
A. まずは神経症状の評価と誘因軽減(靴、荷重位、オーバーユース)を優先。症状が安定してから疼痛のない範囲で行いましょう。


最終更新:2025-10-07