立位姿勢の観察(評価)方法について解説

事前セットアップ(共通)

  • 条件:裸足/肩幅−足1足分くらいのスタンス/自然立位(楽に吸って吐いた後の安静呼吸)

  • 補助具:プラムライン(下げ振り)or レーザー、スキンマーク(耳珠・肩峰・ASIS・PSIS・膝蓋骨中心・内外果)

  • 観察の基本:「左右差(対称性)」「重心線」「代償運動」の3点

① 前面(正面)評価:左右対称性を軸にみる

1. 頭頸部・顔面

前額面の左右対称性|立位姿勢の評価

  • **耳たぶ(耳珠下縁)**の左右高さ

  • 眼裂・口角・オトガイの水平/鼻尖–人中–オトガイの正中一致

  • 頸部:側屈・回旋の偏り(胸鎖乳突筋の左右ボリューム差)

2. 肩~体幹

体幹の側屈を確認|立位姿勢の評価胸郭下端の突出|脊柱側弯|立位姿勢の評価

  • 肩峰の高さ/鎖骨の傾き

  • 体幹と上肢の隙間(“トランク・アーム・スペース”):側屈や側彎があると左右差が出る

  • 胸郭形状:漏斗胸・鳩胸、胸骨術後の変形

  • 呼吸パターン:胸式優位か腹式優位か(胸郭と腹壁の動きの比)

3. 骨盤~下肢・足部

膝関節の距離|足先の位置|立位姿勢の評価

  • **腸骨稜(ASIS)**の高さ・回旋(片側前方化=骨盤回旋の目安)

  • :内反/外反(両膝間距離)、膝蓋骨の向き(股関節回旋の代償を反映)

  • 足部前足部回内/回外、内側縦アーチの低下、母趾外反の有無

  • 自然立位での足の前後差(一側が勝手に前へ出る→股・膝・足の制限や習慣の示唆)

解釈メモ:前面は「水平ラインのズレ」と「体幹–上肢のすき間」を見ると、側弯・側屈・回旋の複合を掴みやすい。

② 側面評価:重心線と脊柱アライメント

1. 重心線(基準)

立位側面の姿勢分析|重心線の位置立位側面の姿勢分析|生理的弯曲|S字カーブ

  • 耳孔(耳珠)→肩峰→大転子→膝関節やや前→外果やや前を通るのが目安

  • 体重は前後に過度に偏らず分散(つま先荷重・踵荷重の偏りに注意)

2. 頭部~骨盤

  • 頭部前方位:耳珠が肩峰より前→頸伸筋群過活動・胸椎後弯増強の代償

  • 胸椎カーブ:過後弯/平坦化

  • 腰椎:過前弯(ロードシス)/平坦化(フラットバック)

  • 骨盤傾斜ASIS–PSISの前後差で前傾/後傾を推定(衣服上は上前腸骨棘の触診で代用)

3. 下肢・足部

  • :過伸展(反張膝)/軽度屈曲保持

  • 足関節:ヒールリフト傾向(常に踵軽い)/常時背屈位

  • 胸郭–骨盤スタッキング:胸郭の前後シフトと骨盤の相対位置(呼吸メカニクスに直結)

触診の一手:棘突起を上から下へ軽くなぞり生理的弯曲の連続性を確認(段差=回旋や側屈のヒント)。

③ 後面評価:肩甲帯・骨盤・下腿軸

1. 肩甲帯・脊柱

立位後面の姿勢評価

  • 肩甲骨の高さ・内外転・下角の位置(内旋/外旋)

  • 脊柱の正中性:棘突起ラインの蛇行/傾斜の有無

2. 骨盤・股関節

  • **PSIS(上後腸骨棘)**の左右高さ差/仙骨基部の傾き

  • 股関節シフトテスト

    • 大転子に外方へ軽い外力→正中へ戻す

    • 抵抗なく戻れば左右荷重は概ね対称。戻りにくい側=常時荷重側 or 関節包/筋の拘縮示唆

股関節シフトテスト|荷重の左右差

3. 膝・下腿・足部

立位後面の姿勢評価|アキレス腱の走行|膝関節の過伸展

  • 膝窩の皺の左右高さ(回旋・過伸展のサイン)

  • アキレス腱の走行:内外反・距骨下関節のバイアス

  • 踵骨の傾き:回内/回外、下腿軸との関係

4. 前屈・側屈の簡易スクリーニング

体幹前屈|脊柱側弯の確認

  • 前屈(Adamテストの簡便版):PSISへ触れ、膝伸展のまま前屈→胸郭の左右隆起差で側弯の構造/機能の目安

  • 側屈誘発:右膝軽度屈曲・左膝伸展で踵接地→さらに右膝を屈曲すると代償的に腰椎左側屈が出るのが正常パターン

    • あなたのケース:左側屈は出るが右側屈が乏しい右傾き習慣+右側組織の短縮/荷重偏位を示唆

解釈メモ:後面は「肩甲骨–骨盤–踵」の3つの水平と「アキレス腱の垂直」で大枠を決める。


まとめ:所見→仮説→検査の流れ

  1. 所見:左右差/重心線逸脱/代償運動

  2. 仮説:関節可動域・筋力/持久力・組織短縮・感覚(固有受容)など

  3. 追加検査:関節モビリティ、MMT、長さテスト、呼吸評価、足部機能、疼痛誘発試験 等


Q&A(臨床あるある5問)

Q1. “対称性が悪い=病的”ですか?
A. 非対称=即病的ではありません。 症状・機能低下・反復負荷の有無とセットで判断。

Q2. 頭部前方位は何から直す?
A. まず胸郭位置と肋骨角→次に下位頸の伸展過多是正→深層屈筋活性の順が現実的。

Q3. 反張膝はどこを見る?
A. 足関節底屈優位/ハム短縮/四頭筋制御不全。足部のロッカー機能から再教育。

Q4. 骨盤の左右差は脚長差のサイン?
A. 機能的脚長差(骨盤回旋・股関節屈曲拘縮など)をまず除外。純粋な構造差は少数。

Q5. 呼吸パターンは姿勢に関係する?
A. 大いに関連。胸郭の前後シフトと腹圧戦略が頸部・腰椎カーブを規定します。


最終更新:2025-09-19