筋・筋膜性頭痛とは
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肩こり・首こりが強い人に多く、筋の過緊張 → 筋膜(深筋膜)の牽引・滑走不全が頭部筋膜へ波及して頭痛を誘発します。
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頭部だけでなく、**頸部周囲(頸部脊柱起立筋・胸鎖乳突筋・肩甲挙筋・側頭筋・咬筋など)**の評価・介入が必須です。
痛みの出方と“筋膜ライン”
筋膜は全身連続体で、滑走不全の起こりやすい層(協調中心)に応じて症状部位が変わります。
①後方ライン
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症状:前頭部〜後頭部の重だるさ、頭冠痛、頭皮過敏。上を向くと悪化しやすい。
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狙い所:外後頭隆起部の頭外被筋膜、第5–6頸椎レベルの脊柱起立筋。
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所見のコツ:生え際の筋膜のざらつき・圧痛。鼻閉感を伴うことも。
②内方ライン
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症状:後頭部痛、浮遊感・不安定感。
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狙い所:項靱帯、第7頸椎レベルの棘上靱帯。
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所見:正中近傍の縦走する硬さ・圧痛。
③外方ライン
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症状:側頭部痛、拍動性頭痛、眼の重さ、三叉神経様の関連痛、顎関節症状。
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狙い所:胸鎖乳突筋外縁(甲状軟骨高)、側頭筋、咬筋。
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所見:食いしばり・歯ぎしりの既往が手がかり。
④外旋ライン
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症状:側頭部の灼熱感、頭皮過敏、めまい・耳鳴り。
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狙い所:C2–C3横突起(肩甲挙筋停止部周囲)、上耳介筋付近。
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所見:頸部回旋・側屈での末期痛。
評価の進め方(臨床フロー)
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誘発動作を特定:後屈・回旋・側屈・開口・噛みしめ等で痛みが出る方向をメモ。
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層別触診:皮膚〜浅筋膜〜深筋膜を分け、ざらつき・段差・滑走低下を同定。
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協調中心を同定:鋭い圧痛+関連痛の再現が得られる1点を最大感覚部として記録。
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関連部位の確認:頸部だけでなく肩甲帯・咀嚼筋・胸郭も必ず触れる。
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レッドフラッグ除外:突然の激烈頭痛、発熱・項部硬直、神経巣症状、外傷直後は医師紹介。
介入(実践)
1) 筋膜マニピュレーション(深筋膜の滑走回復)
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目標は繊維の解離ではなく、深筋膜を“流動化”(摩擦熱でゲル化を促す)。
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手技:痛点に垂直圧+微小な横滑り(上下・左右・斜め)。
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時間:1ポイント2–10分(多くは2–4分で痛み半減と“ゆるみ感”)。
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指標:10段階痛が7–8→3–4程度へ低下したら終了。
2) 周辺リリース
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頸部後方:外後頭隆起、項靱帯、C5–7傍脊柱。
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外方・顎顔面:咬筋・側頭筋・胸鎖乳突筋外縁(滑走不全に皮膚スライドも併用)。
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肩甲帯:肩甲挙筋停止、僧帽上部の過緊張を“持続圧+軽い横剪断”で。
3) 痛みを下げるセルフケア
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皮膚スライド:痛む側の生え際や側頭部の皮膚を痛くない方向へ軽く引いて保持30–60秒。
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顎の脱力:**舌先を上顎(スポット)**に当て、唇は閉じ歯は離す(TCH是正)。
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呼吸:鼻吸気+肋骨外側を広げる胸郭呼吸で頸筋への代償を抑える。
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姿勢休憩:30–60分毎に目線を上げ胸を開く(PC/スマホの前屈固定を解除)。
4) 再発予防(運動再教育)
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下位頸椎の過屈曲抑制:胸椎から曲げる読書・スマホ姿勢。
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肩甲帯:前鋸筋・僧帽下部の軽負荷賦活(壁プッシュ+外旋、ヨークプレス軽負荷)。
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咀嚼負荷の見直し:片噛み・食いしばり・就寝時の歯ぎしりは歯科連携も検討。
ありがちな落とし穴
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患部だけ揉む/強圧マッサージで炎症・過敏を助長。
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頭痛の全てを片頭痛・神経血管性と誤認(徒手で悪化するなら筋膜性の可能性)。
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頸部だけで完結し、肩甲帯・咀嚼筋・胸郭を見落とす。
Q&A
Q1. 片頭痛と筋・筋膜性はどう見分ける?
A. 片頭痛は拍動性・活動で悪化・光音過敏が目立ちます。筋膜性は頸肩の圧痛・姿勢連動で増悪し、徒手で再現・軽減しやすいのが手がかりです。
Q2. どのくらいの頻度で通えば良い?
A. 初期は週1程度で滑走回復とセルフケア定着を図り、その後は間隔延長。経過により調整します。
Q3. 自宅ケアは何が効く?
A. 皮膚スライド、顎の脱力、胸郭呼吸、30–60分毎の姿勢リセット。就寝前の咬筋・側頭筋の軽い持続圧も有効です。
Q4. 受診の目安は?
A. 突然の激烈頭痛、神経症状(麻痺・構音障害・視覚異常)、発熱や項部硬直、外傷後の頭痛は直ちに医療機関へ。
最終更新:2025-10-08




