この記事では、総指伸筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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総指伸筋の概要
総指伸筋は最も強力な指の伸展筋であり、第2-5指の伸展に作用します。
総指伸筋より伸びた外側束には、掌側骨間筋や背側骨間筋、虫様筋の腱が合流してPIP関節・DIP関節の伸展運動に貢献しています。
手関節を越えた遠位の総指伸筋腱は、各指に向かう腱が互いに結合しており、固定力を強めています。(腱間結合)
総指伸筋は力強く握る動作において、手関節を背屈位に固定する作用もあります。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 橈骨神経の深枝 |
髄節 | C6-8 |
起始 | 上腕骨の外側上顆,外側側副靭帯,橈骨輪状靭帯,前腕筋膜 |
停止 | 中央は中節骨底,両側は合わさって末節骨底 |
栄養血管 | 後骨間動脈 |
動作 | 第2-5指DIP/PIP/MP関節の伸展,手関節の背屈 |
筋体積 | 29㎤ |
筋線維長 | 11.6㎝ |
速筋:遅筋(%) | 52.7:47.3 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
母指伸展 |
手指伸展 |
手関節背屈 |
1位 | 長母指伸筋 | 総指伸筋 | 総指伸筋 |
2位 | 短母指伸筋 | 示指伸筋 | 長橈側手根伸筋 |
3位 | – | 小指伸筋 | 短橈側手根伸筋 |
4位 | – | – | 尺側手根伸筋 |
総指伸筋の触診方法
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手をパーにして大きく開くと各手指の下で浮き出る腱がありますが、これが総指伸筋腱になります。
第2指と第5指に関しては、他指を屈曲した状態で伸展すると固有の伸筋(示指伸筋と小指伸筋)が浮き出るために注意が必要です。
手根管部の断面図
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図の緑色部分は手根管部で、その下の有頭骨・小菱形骨の背側に位置しているのが総指伸筋腱です。
総指伸筋腱は示指伸筋腱と共に、伸筋支帯の第4区画を通って2-5指の指先(末節骨)に達します。
ストレッチ方法
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軽くグーを握って、手背を大腿部に置いた状態から、上肢に体重をかけていき、総指伸筋をストレッチしていきます。
筋力トレーニング
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指先で体重を支えて、腕立て伏せを実施していきます。負荷が高い運動なので、両膝をついて実施しても構いません。
関連する疾患
- 総指伸筋腱断裂
- 上腕骨外側上顆炎
- 橈骨神経麻痺/後骨間神経麻痺
- 前腕回内制限 etc.
手指の伸筋と屈筋について
浅指屈筋や深指屈筋の一部(示指のみ)は各指に対して個別に作用できるのに対し、総指伸筋は各指に対して個別に作用することはできません。
これは各指に向かう筋束(腱)が腱間結合によって固定されることに由来しています。
そのため、総指伸筋は総じて動くと覚えておいてください。
指を曲げた状態で1本ずつ伸展させてみるとわかりますが、第2指と第5指だけは最終伸展まで持っていくことができます。
その理由としては、第2指には示指伸筋が、第5指には小指伸筋といった固有の伸筋が存在していることに由来します。