肘関節外側の痛みの原因とリハビリ治療

肘関節外側に起こる痛みの原因とリハビリテーションによる治療方法について解説していきます。

肘関節外側の痛みの原因

①上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

肘関節外側の痛み|上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

正常な肘関節は約15度外反しており、これを運搬角と呼び、物を持った際に大腿部に当たらなくてすむようになっています。

そのため、肘の内側側副靭帯は損傷しやすいですが、肘の外側側副靭帯は損傷しにくい構造となっています。

ただし、肘関節が外反位にあることで上腕骨と橈骨の間(腕橈関節)にはストレスが発生しやすく、しばしば痛みの原因となります。

多いのは若年者の投球動作の繰り返しによる損傷で、上腕骨小頭の軟骨に変性をきたし、骨軟骨炎を引き起こします。

場合によっては遊離した軟骨片が関節内で挟み込まれてしまい、激痛で関節運動が不可能となります。これを関節ネズミと呼びます。

治療方法としては、オーバーユースが損傷の原因となっている場合が多いので、安静にて治癒が完了するのを待ちます。

離断性骨軟骨炎は治癒までに3〜6ヶ月を要し、成長線が閉じている場合は自然治癒が期待できずに手術が必要となります。

②前腕伸筋群の損傷

肘関節外側の痛み|前腕伸筋群1

上腕骨外側上顆には、①肘筋、②尺側手根伸筋、③総指伸筋、④短橈側手根伸筋、⑤長橈側手根伸筋、⑥回外筋、⑦小指伸筋が付着しています。

外側上顆に付着する筋肉の中でも、とくに短橈側手根伸筋は炎症を起こしやすい筋肉であるため、最初に圧痛の有無を確認する必要があります。

各筋肉で主力となる動作は異なりますので、どの動作で痛みが起こるかを評価することにより、原因の筋肉を特定可能です。

痛みの動作が手関節背屈なら総指伸筋、橈屈なら長・短橈側手根伸筋、尺屈なら尺側手根伸筋、肘関節伸展なら肘筋、前腕回外なら回外筋、小指伸展なら小指伸筋となります。

治療方法としては、上腕骨外側上顆の炎症が沈静化するまで筋への負担をなくし、安静を保つことが大切です。

炎症が治まったら、原因筋のストレッチや筋力訓練を実施することや、負担のかかりにくい動作を指導するようにします。

③肘外側側副靭帯の損傷

肘関節外側の痛み|肘外側側副靭帯

肘関節は生理的に外反しているため、肘の内側側副靭帯は損傷しやすいですが外側側副靭帯は損傷しにくいことは前述しました。

しかし、転倒などの外傷時は肘関節の内反が強制されて、外側側副靭帯の損傷が起こる場合もあります。

治療方法としては、肘関節を固定して損傷した靭帯が伸張されないように動作を制限し、組織が治癒するのを待ちます。

④頚椎症性神経根症

肘関節外側の痛み|C6神経根の圧迫

頚椎症性神経根症とは、頚椎の神経根がヘルニアや骨棘によって圧迫され、その神経根が支配する領域に神経症状をきたした状態です。

好発部位はC6神経根の圧迫であり、C6の知覚領域は肘から前腕の外側までを支配しているため、しばしば肘関節外側の痛みの原因となります。

治療方法としては、髄核のヘルニアが原因の場合は3ヶ月ほどで自然吸収が期待できるため、負担をかけないように生活指導を行います。

神経根の圧迫を軽減するために、牽引療法や関節モビライゼーションといった方法も効果的です。

保存療法でも症状が軽減しない場合には、手術療法にて神経根の圧迫を除去する方法が適応されます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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