股関節が痛む場所と原因について

股関節は臼蓋(受け皿)の後方が深く、前方が浅い構造ため、骨頭の前方不安定性が強い関節になります。

そのため、大腿骨頭が前方偏位する股関節伸展位や外旋位で不安定となる関節構造となっています。

股関節伸展は骨盤の傾斜と関係しており、骨盤後傾位では相対的に股関節伸展位となるため、股関節は不安定となります。

また、立位や歩行時に骨盤前方位となるケースでは、相対的に股関節伸展位となるため、こちらも股関節は不安定となります。

股関節伸展位では股関節屈曲筋(腸骨筋や大腿直筋)が遠心性収縮するため、その状態が続くと筋攣縮を起こして股関節前方に痛みが生じます。

多関節筋(2つ以上の関節をまたいで付いている筋肉)は単関節筋よりも攣縮しやすいため、腸骨筋よりも大腿直筋のほうが股関節痛に影響します。

次いで、股関節外旋は前捻角と関係しており、前捻角が増大すると相対的に股関節外旋位となるため、股関節は不安定となります。

過度な前捻角は女性に多く、股関節を安定させるために大腿骨は内旋位をなるため、内股姿勢をとりやすくなります。

股関節内旋位では股関節外旋筋(外旋六筋)が遠心性収縮するため、その状態が続くと筋攣縮を起こして股関節後方に痛みが生じます。

股関節外旋筋群の中でも梨状筋(上の画像の赤い筋肉)に問題が生じやすく、他の外旋筋群との違いは股関節外転に作用することです。

そのため、歩行時に股関節内転位をとりやすいヒトで、とくに梨状筋の攣縮が起こりやすくなっています。

次いで、股関節内転は臼蓋形成不全と関係しており、臼蓋外上方が浅くなっていると股関節内転位で大腿骨頭は不安定となります。

股関節内転位となる異常歩行にトレンデレンブルグ徴候(歩行)があり、立脚時に対側の骨盤が下がることで股関節内転位となります。

股関節内転位では股関節外転筋(中殿筋や小殿筋)が遠心性収縮するため、その状態が続くと筋攣縮を起こして股関節側方に痛みが生じます。

臼蓋形成不全が存在し、さらに股関節内転位荷重になっていると、変形性股関節症を進行させることにつながります。

変形性股関節症の痛みは基本的に炎症になるので、前期は運動後に違和感や疲れとして感じている場合が多いです。

この時期に股関節内転位荷重を修正し、変形を進行させないようにアプローチしていくことが必要となります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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