筋・筋膜性頸部痛(首コリ)のリハビリ治療

筋・筋膜性頸部痛の概要

  • 主要因:①筋・筋膜性疼痛(首コリ) ②椎間板症 ③椎間関節障害。

  • 筋・筋膜性の手がかり:重だるさ〜締め付け感/触れると筋や筋膜に圧痛・硬結/温める・動かすとやや楽。

  • 椎間板症の示唆:下位頸椎の前屈・長時間うつむきで増悪、腕への放散が姿勢で変化。

  • 椎間関節障害の示唆:上位頸椎の伸展・回旋終末域で局所の鋭い痛み、朝のこわばり。

首コリで硬くなりやすい筋

  • 僧帽筋上部:胸椎過後弯+頭部前方位で持続収縮。外側頭痛の誘発源。

  • 肩甲挙筋:肩甲骨下方回旋・頚部側屈の代償で過緊張しやすい。

  • 後頭下筋群:上位頸椎過伸展・視覚ストレスで短縮しやすく、後頭痛のトリガーに。

姿勢背景(典型)

  • カイホロードシス型:胸椎過後弯+頭部前方位+下部体幹前方位。→胸筋群(大・小胸筋)過緊張⇄僧帽上部/肩甲挙筋の過活動で悪循環。


まずやる評価(60秒)

  1. 壁立ち:後頭・肩甲骨・殿部・踵をつけ、腰の隙/肋骨前突をチェック(上位過伸展サイン)。

  2. 肩甲骨の動き:挙上・上方回旋が硬い/痛い→小胸筋・肩甲挙筋の短縮疑い。

  3. 触診:僧帽上部/肩甲挙筋/後頭下筋群の圧痛・ロープ状硬結、胸筋の短縮感。


介入(即効ケア → 原因ケア)

A. 痛みを和らげる“即効ケア”

  • 呼気ドリル 6呼吸:鼻3秒吸う→口すぼめ6–8秒吐く。肋骨を前下方へ収め上位頸の反りブレーキ。

  • 後頭下筋リリース 60–90秒:仰向けでテニスボール2個を後頭骨下に。顎は軽く引く。痛みは「気持ちよい圧」まで。

  • 肩甲挙筋ストレッチ 30–45秒×2:座位で痛い側の耳を反対側に倒し、やや下を見る。反側手で鎖骨を押さえて肩甲骨を固定。

B. 原因に刺さる“土台づくり”

  1. 胸筋のリラクゼーション(最優先)

    • 小胸筋ストレッチ:壁に前腕を当て体幹を前へ、30–45秒×2。

    • フォームローラーで胸筋→前胸部筋膜を縦転がし1–2分。

  2. 肩甲帯の再学習

    • 壁スライド+プラス(前鋸筋・僧帽下部):肘前腕を壁につけ上方へ滑らせ、最後に肩甲骨を外前方へ“プラス”。8–10回×2。

    • Yレイズ(うつ伏せ):胸を反らさず肩甲骨下制・後傾を意識。8–12回×2。

  3. 頸深屈筋(舌骨下筋群含む)活性

    • チンタック:仰向けで顎を2cm引き、10秒×8–10。上位屈曲を明確に。

  4. 下部体幹前方位の是正(カイホロードシス併発例)

    • ドローイン+デッドバグ:腰椎中間位のまま四肢交互 8–10回×2。

    • ヒップヒンジ練習:胸郭前突なしで股関節主導へ。

C. 生活・環境

  • 1時間に1回リセット:立ち上がり→胸椎伸展3回→チンタック3回。

  • 画面は目の高さ/肘90°、椅子は骨盤が立つ座面へ調整。

  • 短時間の仮眠・ホットパックで筋の休息時間を作る。

D. 注意と受診目安

  • 赤旗:発熱・落雷様の突発激痛・神経脱落(筋力低下/しびれの進行)・外傷後。→医療機関へ。

  • 強い痛みが続くときの筋膜手技は痛みのない範囲で。痛覚過敏を助長させない。


1日3分ショートルーチン

  1. 呼気ドリル ×6呼吸

  2. チンタック 10秒×5

  3. 壁スライド+プラス 8回×2


よくある質問(Q&A)

Q1:揉めば治りますか?
A:一時的には軽くなりますが、胸筋の短縮や頭部前方位が残ると再発。胸郭・肩甲帯・頸深屈筋までセットで。

Q2:温める?冷やす?
A:筋・筋膜性は温熱が無難。偏頭痛は拡張で悪化しやすいので、その時だけは冷却・安静が基本。

Q3:枕はどう選ぶ?
A:仰向けで顎が軽く引ける高さ、横向きで鼻先が背骨と一直線。高すぎる枕は上位頸過伸展を助長。

Q4:どのくらいで変化が出る?
A:毎日5分×2〜3週間で、張り・姿勢感覚の改善例が多い。PC環境の調整とセットで行うと効果が安定。


最終更新:2025-10-08