肩コリが起きる原因を理学療法士が説明しようと思う

まず押さえる3ポイント

  1. 凝り=筋疲労
     長く軽い収縮を強いられ、血流が落ちて代謝物が滞る状態。

  2. どこが凝る?
     代表は肩甲挙筋僧帽筋上部(必要に応じて三角筋中部も)。

  3. なぜそこが凝る?
     “真犯人”は肩の安定化不足(腱板の出力低下)と、作業姿勢・呼吸・ストレスなどの負荷環境が重なった結果であることが多い。


凝りの正体をもう少しだけ

  • 日常で長時間働く筋(例:ヒラメ筋)は遅筋優位で疲れにくい設計

  • 肩甲挙筋・僧帽筋上部は姿勢保持+代償で張り続けやすく、速筋寄りの動員が続くとだる重さ・圧痛・可動域の固さに。


「どこが」凝っているかを見分ける簡易チェック

  • 肩甲挙筋:頸の伸展+同側側屈+反対回旋で突っ張る/肩甲上角の圧痛。

  • 僧帽筋上部肩甲帯のすくめで痛み↑/肩甲棘上の圧痛。

  • 三角筋中部:肩外転30–60°付近での局所圧痛・重だるさ。
    → 触れる場所と動かして痛む方向をメモ。施術・セルフケアの的が絞れます。


なぜ凝ったのか:よくある機序

1) 腱板(特に棘上筋)の出力低下 → 代償の連鎖

  • 腱板は骨頭を求心化して三角筋の力を“回転”に変える役目。

  • 棘上筋の働きが弱いと、骨頭が上方にズレやすく、三角筋や肩甲挙筋・僧帽上部代償的に過収縮→コリ化。

  • 画像では高齢層に腱板の変性所見は珍しくないが、それ単体が痛み=ではない。機能を整える視点が大切。

2) 姿勢・作業環境

  • 画面高が低い/肘支持なし/長時間同一姿勢 → 肩甲帯挙上位が固定。

  • 口呼吸・浅い吸気優位 → 肩甲挙筋・僧帽上部など呼吸補助筋の過活動

3) ストレス・睡眠不足

  • 交感神経優位で筋緊張・痛覚過敏が持続。セルフケアの効果が揺れやすい。


根本対策:順番が命(環境→安定化→負荷)

Step0:環境の微調整(今すぐ)

  • 画面上端=目線±0〜5cm、前腕は肘掛けで支持、キーボードは近く。

  • 1時間に1回、30–60秒の肩甲帯リセット(下制・後退・深呼気)。

Step1:挟み込みを避ける可動準備

  • 肩甲帯セッティング:軽く下制+後退(すくめない)。

  • 頸・胸郭の呼気ドリル:鼻3秒吸う→口すぼめ6–8秒で吐く×6。肋骨を前下方へ収め、僧帽上部の“空回り”を止める。

Step2:腱板を“方向づけ”で起こす(痛み0–3/10)

  • 棘上筋:側臥位で肩屈曲30°+外転等尺5–8秒×6。三角筋に力を入れすぎない。

  • 棘下筋:脇を閉じて外旋等尺5–8秒×6。

  • 肩甲下筋Belly-press等尺(肘90°、腹を軽く押す)5–8秒×6。

  • 目標=骨頭が静かに回る感覚。ゴリゴリ音が出る角度は回避。

Step3:肩甲胸郭の協調を戻す

  • 前鋸筋+下部僧帽筋:壁スライド+最後に肩甲骨を前外方へ“プラス”。

  • 軽負荷の外転/外旋:1kg以下から、滑らかさ>回数で。

Step4:ピンポイントのコリ解放(必要時)

  • 肩甲挙筋:上内方→下外方へ繊維に沿うストローク。

  • 僧帽上部:鎖骨内側端〜肩峰へ広域に伸張+圧迫リリース。

  • 三角筋中部:肩峰直下の癒着は短時間で。やり過ぎは反発増。

注意:強揉み連発は一時的快感⇔反跳痛の悪循環に。目的は“力の方向づけを取り戻すこと”


3分ショートルーチン(毎日)

  1. 口すぼめ呼気×6(肩をすくめない)

  2. 肩甲帯セッティング 5秒×5

  3. 脇閉じ外旋等尺 5秒×6

  4. 側臥位 外転等尺 5秒×6


よくある質問(Q&A)

Q1. マッサージだけで治る?
A. 一時的には軽くなりますが、腱板の求心化が戻らない限り再発。揉むなら動作学習とセットで。

Q2. どのくらいで変わる?
A. 環境調整+ルーチン継続で2–3週間に張りの自覚が下がる例が多い。夜間痛・脱力があれば医療機関へ。

Q3. 筋トレは重い方が効きますか?
A. いいえ。まず軽負荷で方向制御。重さ優先は三角筋優位→骨頭上方偏位を助長。

Q4. 首の凝りも一緒に辛い
A. 棘上筋の出力不足を肩甲挙筋が代償しているサインかも。頸の施術だけより腱板活性+呼気を先に。


最終更新:2025-10-07