脊椎側弯とトレンデレンブルグ徴候の関係性

トレンデレンブルグ徴候とは、歩行の片脚立位時に中殿筋の収縮が不十分で、骨盤を水平の位置に保持できない現象をいいます。

骨盤が傾くと上半身まで側屈してしまいますので、頭部を正中位に保持するために腰椎は対側に凸となる側弯が生じます。

また、トレンデレンブルグ徴候は中殿筋や小殿筋といった外転筋群に伸張ストレスが加わり、股関節側方の痛みを引き起こします。

問診をするときに痛みが出る時間帯というのは非常に重要で、この場合は、朝よりも夕方から痛いと訴えるケースが多いです。

理由としては、日中に歩き回るなどして徐々に抗重力筋が疲労していき、夕方から歩容が悪化することでストレスが増大するからです。

朝起きたときに痛みが最も強く、動き回ることで徐々に痛みが軽減する場合は、組織の癒着や滑走不全が考えられます。

起床時に腰痛が強いケースでは、腰を曲げたときに椎間関節が綺麗に滑走できていないことが多くあります。

夜寝ているときに痛みがあるケースでは炎症所見が疑われ、一日のうちで全く変化がない場合は内臓や心理的な問題が疑われます。

話を戻しますが、腰椎側弯にはトレンデレンブルグ徴候が関与している可能性があるので、できる限りに修正する必要があります。

単純に股関節を外転させて中殿筋を鍛えるだけでは修正できないので、実際の場面を想定したトレーニングが必要となります。

具体的には、片脚立位をとった状態で対側の骨盤を挙上するようにし、中殿筋を収縮させていきます。

片脚立位の姿勢が保持できない場合は、手すりなどに軽く触れた状態で実施してください。

脊椎側屈などの代償動作が入らないように注意し、脊椎を真っ直ぐに伸ばすように意識させることで側弯の矯正にも有効となります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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