脾臓の概要
脾臓は左上腹部(左季肋部)、横隔膜のすぐ下にある腹腔内(腹膜内)臓器です。第9〜11肋骨の高さに収まり、下方は**左横隔結腸ヒダ(phrenicocolic ligament)**により支えられます。形は腎臓に似た“そら豆”状。
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大きさ:長さ10–12cm/幅6–7cm/厚さ3–4cm
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重さ:150–200g前後
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血流:脾動脈から豊富(およそ毎分300mL程度)
役割(2本柱)
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循環系の調整
老化・損傷した赤血球の処理、血小板の貯留、(ヒトでは限定的だが)血液量のバッファ。 -
免疫機能
白脾髄のリンパ球が血中抗原に反応して防御を担います。
位置関係のめやす
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後方:横隔膜を介して胸郭(9–11肋骨)
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内側・前方:胃
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下方:横行結腸(脾曲)
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やや後内側:左腎臓
症状・関連痛の特徴
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左上腹部痛が典型。**左肩への放散痛(Kehr徴候)**は横隔膜刺激によるもの(横隔神経経由)で、外傷後や感染での脾損傷/破裂を強く疑います(救急受診レベル)。
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背部〜左胸背部に重だるさを訴えることも。
支配神経の目安:交感(T5–T9由来で腹腔神経叢へ)、副交感(迷走神経)。
触診・圧痛の補助所見(臨床メモ)
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脾腫が強いと左肋弓下で触知することがあります(通常は触れません)。
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代替医療で用いられる**圧痛点(Chapman’s reflex を参考)**として、
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後方:左T7–T8横突起間の中点付近
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前方:左第7–8肋間(肋軟骨近く)
が挙げられます。診断的価値は限定的なので、あくまで補助的に扱い、危険徴候があれば速やかに医療機関へ。
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よくある臨床シーン
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脾腫:伝染性単核球症などのウイルス感染、血液疾患、肝疾患で腫大。接触スポーツは一時中止が原則。
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外傷後:左季肋部打撲後の持続痛・左肩放散痛・冷汗・顔面蒼白は脾破裂の赤旗。救急受診。
Q&A
Q1. 左肩が痛いのに腹部の病気ってありえますか?
A. はい。Kehr徴候といい、脾臓や横隔膜の刺激が左肩へ放散して感じられます。外傷後は緊急性が高いです。
Q2. 脾臓は普段さわって確かめられますか?
A. 正常サイズでは触知できないのが通常。触れるのは腫大時で、左肋弓下に硬い辺縁を感じます。
Q3. 風邪の後に左脇腹が重い…脾臓と関係ありますか?
A. 一部の感染症で一過性の脾腫が起きることがあります。安静と衝撃回避が大切。長引く・悪化する・発熱を伴う場合は受診を。
Q4. 施術で“脾臓の圧痛点”を押すと楽になりますか?
A. 圧痛点は自律神経反射の指標として使われることがありますが、診断や根治の根拠にはなりません。危険徴候があれば必ず医療機関へ。
最終更新:2025-10-07



