腰痛治療で役立つ姿勢矯正トレーニングの方法をパンフレットにしてまとめてみましたので、どうぞご活用ください。
どのような姿勢に対して使用するのか、どこに対して効果があるのかも簡単に説明していきますので、実施前に必ずチェックするようにお願い致します。
腰痛治療のパンフレット(普及版)
まずは実際にどんなメニューが掲載しているかですが、以下に実物を掲載しておきます。なお、ダウンロードはコチラをクリックしたらすぐに開始されます。
ご利用はフリーですので、勤務されている病院や施設などで活用してください。
パンフレットを作成した経緯としては、自主練習を指導する際に渡しておくことで、患者も在宅で実施しやすくなるといったことが挙げられます。
療法士ならリハビリ以外での活動状況が重要なのは百も承知だと思いますが、実際には自主練習に結び付けられていないことも多いかと思います。
そのため、少しでも運動が定着できるようにと考えた結果、以前の職場ではパンフレットを作って配布するようになりました。
使用方法としては、事前に用紙をコピーして保管しておき、対象となる患者が来たら紙を渡して方法を指導するようにします。
運動の種類はあまり多いと定着しないので3つほどにし、実施してほしい運動のところにチェックを入れます。(右上の□部分)
そうすることであまり手間をとることもなく、初期からスムーズに在宅トレーニングの指導までつなげていくことができます。
運動の目的と効果について
腰痛を起こしている原因は様々ではありますが、その原因に対して不良姿勢が悪影響を及ぼしている場合は多いです。
とくに影響を与えやすい反り腰(腰椎前弯の増強)と平腰(腰椎前弯の減少)に的を絞りながらメニューを組んでいます。
不良姿勢には筋肉の低緊張(緩み)や過緊張(短縮)が関与しており、それぞれの姿勢には引き起こす原因があります。
例えば、反り腰の場合は骨盤を前傾させる筋肉に過緊張がみられ、骨盤を後傾させる筋肉に低緊張が起こりやすいです。
平腰の場合は反対で、骨盤を前傾させる筋肉に低緊張がみられ、骨盤を後傾させる筋肉に過緊張が起こりやすいです。
骨盤を前傾させる筋肉とは脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋などで、後傾させる筋肉とは腹直筋、大殿筋、ハムストリングスなどです。
これはあくまで目安であり、反り腰だから必ずしも骨盤を前傾させる筋肉がすべて過緊張というわけではありません。
そのため、パンフレットに掲載しているメニューも各筋肉の状況をみながら、必要な運動のみを選択して実施することが大切になります。
運動メニューの矯正方向
パンフレットでは九つの運動を掲載していますが、①から④までは反り腰の矯正に、⑤から⑧までは平腰の矯正に用います。
⑨に関しては、いわゆるコアトレーニングであり、脊椎の不安定性に対して用いられる運動であり、どちらのタイプにも使用することができます。
それでは、各運動の効果と詳細について解説していきます。
①対象は反り腰。脊柱起立筋のストレッチングに用います。 |
【方法】両足をかかえ込むようにして体を丸めます。腰の痛みに注意して、痛みのない範囲で行います。 |
②対象は反り腰。腹直筋の筋力トレーニングに用います。 |
【方法】仰向けにて両膝を立てた状態から体を起こしていきます。脚を椅子などの上にあげておくと、より高い負荷を与えることができます。 |
③対象は反り腰。大腿直筋のストレッチングに用います。 |
【方法】正座をした状態から体をうしろに倒していき、太ももの前面が伸びるようにしていきます。 |
④対象は反り腰。大殿筋とハムストリングの筋力トレーニングに用います。 |
【方法】お尻を上げて5秒間とめます。問題なく行える場合は片脚を挙げてから実施します。膝の屈曲角度を大きくすると大殿筋が、小さくするとハムストリングが集中的に鍛えられます。 |
⑤対象は平腰。腹直筋のストレッチングに用います。 |
【方法】うつぶせの状態から腕を支えにして背骨をそらします。とくに腰が伸びるように実施します。 |
⑥対象は平腰。腸腰筋の筋力トレーニングに用います。 |
【方法】仰向けで寝た状態から両足をあげていき、膝を90度に曲げます。そしてまた元の位置に戻します。足首に重りを付けると負荷を高めることができます。 |
⑦対象は平腰。脊柱起立筋の筋力トレーニングに用います。 |
【方法】うつ伏せの状態から上体をそらして背筋に力を入れます。いわゆる背筋運動と同じ方法です。 |
⑧対象は平腰。ハムストリングスのストレッチングに用います。 |
【方法】脚を伸ばして座った状態から体を前方に倒していき、爪先に手が触れるようにします。 |
⑨対象は反り腰と平腰。多裂筋や腹横筋などのコアマッスルの筋力トレーニングに用います。 |
【方法】よつばいの状態になり、右手と左足を上げて5秒間保持します。足と手を変えて繰り返します。 |
トレーニングの注意点
運動項目は重要なものにのみ絞って掲載していますので、実際はこれだけでは対処しきれないことも多いかと思います。
また、場合によっては運動後に痛みが増した、翌日に筋肉痛が出現した、疲労感がとれないといったこともあるかもしれません。
そのため、もしもパンフレットのみを見て運動を実施している場合は、運動は一旦中止して、最寄りの医療機関を受診するようにしてください。
腰痛を起こしている原因は非常に多く、不良姿勢だけが痛みを起こしているわけではありません。
まずは痛みの原因をしっかりと調べ、それから効果的にトレーニング方法を選択していくようにお願い致します。
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私が執筆している腰痛症の治療に関する書籍も出版されていますので、腰痛について深く理解したい場合は、是非ともご購入を検討してみてください。