ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)のリハビリ治療

ドケルバン病のリハビリ治療について解説していきます。

ドケルバン病の概要

腱鞘炎

母指を広げると手首の母指側に2本の腱が浮かび上がります。

ドケルバン病はその母指側の線である短母指伸筋腱と長母指外転筋が手首の背側にある手背第一コンパートメントを通るところに生じる腱鞘炎です。

腱鞘とは腱を通すトンネルで腱の浮き上がりを抑える役割を持ち、腱鞘と腱の間に炎症が起きた状態を腱鞘炎と呼びます。

症状として、患部に疼痛や腫脹が出現し、手指の動かしづらさが認められます。

手を多用する職業に多い

腱鞘炎の原因は手を過剰に使用することにあるため、キーボードを打つプログラマーやピアニスト、漫画家などの職業に多くみられます。

また、育児中の女性にも好発し、ほとんどの腱鞘炎は最初は腕のだるさといった自覚症状から始まります。

その危険信号を無視して作業を続けることにより、痛みが発生して難治性の腱鞘炎に移行していきます。

腱鞘炎の初期症状

腱鞘炎の重症度分類-オリジナル –

腱鞘炎の分類法を探してみたのですが見つからなかったので、演奏家のための治療ガイドより一部抜粋して改編分類したので掲載します。

症状・処置
Level 1 腕のだるさや指が開きにくいなどの違和感がある。痛みはない。この時点で腱鞘炎と気付く人はほとんどいない
Level 2 使用中の不快感、瞬間的な痛み、軽度の炎症所見がある。痛みの部位は曖昧。病院に行くほどでもないと考える
Level 3 使用中や後に炎症所見が出現し、数日間にわたって継続する。特定した圧痛部位が出現する。病院に行こうと考える人が現れる
Level 4 日常生活での単発的な使用が痛みの原因になる。激しい叩打痛を伴う。消炎鎮痛の注射、テーピングや簡易装具による固定を必要とする
Level 5 すべての動作が痛い、安静時痛の出現、強い炎症所見を伴う。手術による治療、装具による完全固定を検討する

手術の適応基準

腱鞘炎による痛みは腱鞘と腱が引っ掛かり、摩擦が起こることが原因なので、手術は非常に有効な治療法とされています。

とくにドケルバン病に対しては有効例が多いです。

腱鞘炎の手術①

手術では腱鞘を切り広げて腱の通りを良くしますが、通常は手術が必要なほど悪化するケースは稀です。

適応は何度も再発を繰り返し、日常生活や仕事に影響がある場合や、数年以上の長期間に渡って腱鞘炎に悩まされている場合になります。

腱鞘炎の手術②

ケルバン病の簡単な見つけ方

簡単に見つける方法として、親指を中へ入れて拳を握りこみ、そのまま拳を小指側へ倒します。

これで痛みが誘発されるようならドケルバン病の可能性が高いです。

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リハビリテーション

手関節外側痛は筋膜障害で起こっているケースもあるため、上記のラインはしっかりとリリースするようにします。

外側上腕筋間中隔から起始している長橈側手根伸筋はSBALに属しており、第一背側骨間筋へと連結しています。

このラインに問題が生じていると前腕筋膜の滑走性が低下し、長母指外転筋の張力に異常が生じます。

それが結果的にドケルバン病を引き起こします。

テーピング治療

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上の写真では、テーピングによって母指の動きを制限し、手首を固定しています。

テーピングの利点は、装具よりも自由が利き、テープの巻き方や張り具合によって固定力を調整できるところです。

ただし、自分で貼ることが難しいため、発症初期の一次的な処置として利用することが大半です。

腱鞘炎は治癒までに長期間を要することも多いので、患者自身が自己管理するために一人で取り付けられるサポーターもお勧めです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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