膝蓋骨(patella)に付着する筋肉や各部位の名称、膝蓋骨の役割について解説していきます。
膝蓋骨の概要
膝蓋骨は人体で最大の種子骨であり、逆三角形にちかい形状となっています。後面は大腿骨と膝蓋大腿関節を構成しています。
種子骨とは、摩擦に抵抗するために生じた骨片であり、この骨があることで頻繁に繰り返される関節運動の負担を軽減することができます。
膝蓋骨は「膝のお皿」と表現される場合が多いですが、それはラテン語のpatina(お皿)が語源となっています。
成人で膝蓋骨の大きさは約12㎠であり、後面には約6㎜の分厚い関節軟骨が付着しています。
各部位の名称と役割について
1.前面から見た大腿骨 |
2.後面から見た膝蓋骨 |
3.上方から見た膝蓋骨 |
膝蓋骨底 | 【停止】大腿四頭筋 |
膝蓋骨尖 | 【付着】膝蓋腱(膝蓋靭帯) |
膝蓋骨関節面 | 【関節】膝蓋大腿関節 |
膝蓋骨側面 | 【付着】内側膝蓋大腿靱帯,外側膝蓋大腿靱帯 |
膝蓋骨の役割について解説
膝蓋骨には、①大腿四頭筋の擦り減り防止、②膝関節伸展力の効率化、③膝関節の保護といった三つの役割があります。
膝蓋骨がない場合は、滑車がない状態だと考えると理解しやすいです。滑車がないため、スムーズな筋収縮が行えずに大腿四頭筋を摩耗してしまいます。
膝蓋骨があることにより、伸展機構の作用効率を50%も高めるとされています。
テコの原理について
膝関節においては、「第三のテコ」の原理が働きます。これは、力点が支点と作用点の間に存在するテコです。
特徴として、運動のスピードが速くなるといったメリットがありますが、力が大きく必要になるといったデメリットも存在します。
このフォースアームが短くなるほどに、重りを持ち上げるための力が大きく必要となり、逆に長くなるほどに少ない力で持ち上げることができます。
または、レジスタンスアームが長くなるほどに持ち上げやすくなるともいえます。
大腿四頭筋による膝関節伸展では、支点が膝関節、力点が脛骨粗面の筋付着部、作用点が下腿の重心線になります。
ベクトルの大きさ
下図は膝蓋骨がない場合の、ベクトルの大きさになります。大腿四頭筋の収縮力に対して、脛骨の移動力が乏しいことがわかります。
膝蓋骨がある場合は、ベクトルが複合することで、少ない収縮力でより大きな脛骨の移動力を引き出すことができます。
膝関節が屈曲位にて膝蓋骨の動きが乏しくなるのは、この滑車を固定するためだと考えてください。
滑車が固定されずに動くようなら、筋肉が収縮したときに上手く力が伝達できずに引っ張ることができなくなります。