膵臓(pancreas)は、胃の後方の後腹壁に存在しています。
腎臓よりもやや手前に位置しており、右側には十二指腸が、左側には脾臓が位置しています。
L1〜2の高さに位置しており、膵頭(右側)のほうが膵尾(左側)よりも低い位置にあり、膵臓は30度の角度で左上に傾斜しています。
膵臓の90%は腺房から構成されており、そこから強力な消化液(膵液)とインスリンやグルカゴンなどのホルモンが分泌されます。
膵液は膵管を通して十二指腸に流れていくため、外分泌器官に属します。
それに対して、ホルモンは膵管を経由せずにランゲルハンス島の周りを取り巻く毛細血管に入り込むため、内分泌器官に属します。
このように膵臓は外分泌器官と内分泌器官の両者を併せ持っており、多様な働きを担っているといえます。
膵臓の大きさは、長さが15㎝で、重さは70グラムほどになります。
膵臓に炎症がある場合、鳩尾(みぞおち)の奥の方や、背部の下部胸椎あたりから前面にベルト状の放散痛が出現します。
膵炎の半数はアルコール性であるため、まずは飲酒を控えることが重要になります。
膵臓の関連痛は、膵臓の場所が左側に位置していることから、左側の上腹部を中心に発生します。
しばしば腰痛を訴える場合もありますので、確実に鑑別することが大切です。
膵臓に問題がある場合、右側のT7とT 8の横突起の間に圧痛点が生じます。
膵臓の支配神経は、迷走神経とT5〜9から出る交感神経系であるため、圧痛点も膵臓より上部に存在すると推察されます。
この部位はそのまま治療手技に用いることができ、膵臓に障害がある場合は非常に敏感となっています。
なので、指1本で軽い圧をかけながら、ゆっくりと回転させるようにしながらアプローチしていきます。