この記事では、足底筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
足底筋の概要
足底筋は細長い筋肉であり、足関節の底屈に作用しますが、その働きは非常にわずかで無視できるほどです。
ヒトの進化とともに、その必要性がなくなって退化していった筋肉のひとつであり、臨床的にはあまり重要ではありません。
腓腹筋とヒラメ筋の間に存在しますが、時には欠如することもあり、ヒトによっては二重に存在しています。
短い筋腹のあとに長く細い腱が続いており、踵骨に付着します。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 脛骨神経 |
髄節 | S1-2 |
起始 | 腓腹筋の外側頭(大腿骨外側上顆)の上 |
停止 | 踵骨腱(アキレス腱)を介して踵骨隆起に停止 |
動作 | 足関節底屈(わずか)
膝関節屈曲(弱い副次的作用) |
血管支配 | 外側下膝動脈 |
筋連結 | 大腿筋膜張筋、膝窩筋、腓腹筋、ヒラメ筋、長腓骨筋 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
足関節底屈 |
膝関節屈曲 |
1位 | ヒラメ筋 | 半膜様筋 |
2位 | 腓腹筋 | 半腱様筋 |
3位 | 長腓骨筋 | 大腿二頭筋 |
4位 | - | 腓腹筋 |
※足底筋の運動への貢献度は非常に低いです。
足底筋の触診方法
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足底筋の筋腹は膝窩部にて、腓腹筋外側頭のすぐ内側に手を当て、足関節の底背屈を繰り返すことで収縮を触知できます。
この触診部位ではすぐ内側に脛骨神経が走行しているため、強く圧迫すると脛骨神経領域に痺れが生じます。
トリガーポイントと関連痛領域
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足底筋に圧痛点(トリガーポイント)は筋腱移行部に出現し、関連痛は膝窩から下腿近位にかけて痛みを起こします。
足底筋の存在意義について
足底筋が意味を持っていた時代は両生類まで遡るといわれており、全ての哺乳類には踵があるのに対して、爬虫類には存在しないからです。
爬虫類は四肢が外側に飛び出していますが、四足歩行の哺乳類は胴体の下にあり、その違いが踵を作ったと考えられています。
踵が後ろに出っ張ることで強力なキック動作が可能となり、下腿三頭筋が発達し、速く走ることが可能となりました。
下腿三頭筋の発達とともに足底筋は退化していきましたが、下腿三頭筋の機能が失われたときは足底筋が肥大化することがわかっています。
ラットを使用した実験では、下腿三頭筋を切除した場合に足底筋が三カ月で40%も肥大したことが報告されています。